『人生と食べ物の関係もしくは食べ物の乱用を巡って』
ブレア・ウエスト博士
「THE ダイエット!」が日本で公開されると知り、大変嬉しく思います。当初は、被写体でもある監督が、どこまで自身の肥満について正直に話してくれるのか不安でした。しかし、それは、杞憂でした。彼女は1回目のセラピーセッションからオープンな姿勢で、勇気を持って自分に立ち向かってくれました。最終的に私たちのセラピーセッションが、映画の核になっていることを確認でき、とても嬉しく思います。
<食べ物>が最も乱用され、ドラッグやタバコ、アルコールよりも弊害のある<物質>である、という認識はされていないのが現状です。そして、この<物質>と肥満の関係を理解するには、心理的アプローチが必要であることも、残念ながら認識されていないのです。さらに悲しいことには、健康問題の専門家の認識も、「肥満は、自己管理の欠落からくる肉体的問題である」と教育され、そのように指導していることです。先進国に蔓延している肥満の問題を本気で解決しようとするならば、人生と<食べ物>の心理的関係を理解することが急務です。 ですから、この映画の核になっている関口監督とご両親の関係、彼女の人生の意味など、アイデンティティーを含めた深層心理の究明により、この映画が、単に痩せるためのノウ・ハウものとは違うのだということを、ご理解いただけると思います。何よりもカメラの前で、恐れずにそれらを開襟し、共有してくれた関口監督には、驚くとともに、感謝しています。この映画は、大変貴重かつユニークであり、是非たくさんの方々に見てほしいと願っています。
ブレア・ウエスト博士
精神科医。どうして痩せられないのか、という肥満者の心理に関する研究の世界的先駆者であり権威である。代表的な著作には、「食べ物好きの人が、痩せるには―なぜ自ら故意に痩せることを止めてしまうのか」がある。オーストラリア、ブリズベーン在住。