ザイール'74伝説の音楽祭『ソウル・パワー』

「ONE OF A KIND (LOVE AFFAIR)」

1954年ミシガン州デトロイトで結成。1963年モータウンと契約して活動「イッツ・ア・シェイム」のあと、1972年にアトランティック・レコードと契約し、ヘンリー・ファンブロー、ビリー・ヘンダーソン、パーヴィス・ジャクソン、ボビー・スミス、フィリップ・ウェインという編成となる。敏腕プロデューサー、トム・ベルと制作を続け、流麗なオーケストレーションと美しいコーラスワークを駆使したサウンドで黄金期を迎える。「ワン・オブ・ア・カインド・ラヴ・アフェアー」は、1973年に発売されたセルフタイトルとなるアルバムからのサード・シングル。

「HOPE SHE'LL BE HAPPIER」

アメリカ、ウェスト・ヴァージニア州出身、『ロックの殿堂』入りしたシンガー・ソングライター。今作で披露される「ホープ・シール・ビー・ハピアー」を収録したファースト・アルバム『Just As I Am』で1970年デビュー。1972年に『Just As I Am』収録の『消えゆく太陽』で、第14回グラミー賞ベスト・リズム＆ブルース部門を獲得。同年リリースしたセカンド・アルバム『Still Bill』に収録の『リーン・オン・ミー』は年間No.1ヒットとなる。他に 『ユーズ・ミー』、『ラブリー・デイ』 、グローヴァー・ワシントン・ジュニアの 『Just the Two of Us』（邦題：クリスタルの恋人達）など多くのヒット曲がある。2009年、『STILL BILL THE MOVIE』と題されたウィザースに関するドキュメンタリーが公開された。

「ON AND ON」

デビー、ジョニー、キャシー、キムから成るフィラデルフィア出身のボーカル・グループ。1972年結成後、1979年のディスコ・ヒット「We Are Family」「He's the Greatest Dancer」で知られる。これらの楽曲は現在に至るまで幾度となく再リリース、そしてアップ・トゥ・デートなリミックスを施されダンス・クラシックとして常に高い人気を誇っている。ザイール'74出演時は、アルバム・デビュー前で、グラディス・ナイト・アンド・ザ・ピップスの「オン・アンド・オン」をカバー。現在も勢力的にツアーを行っている。

「PUT IT WHERE YOU WANT IT」

ウィルトン・フェルダー(テナー・サックス)、ウェイン・ヘンダーソン(トロンボーン）、スティックス・フーパー(ドラムス）、ジョー・サンプル(キーボード）からなるグループ。1961年から1970年まではザ・ジャズ・クルセイダーズとして活動。ジャズ・ファンクからフュージョンへとスタイルを変えながら、ジャズ・ファンのみならず幅広いリスナーから支持を集めた。「プット・イット・ホエア・ユー・ウォント・イット」は1972年の『1』収録の彼らのヒット曲。初期から準メンバーとしてラリー・カールトン（ギター）が参加、このザイール'74のライブではさらにケント・ブリンキィ（ベース）が加わっている。

「BONJOUR L'AFRIQUE」

ジョージア州サバナ出身のコンガ奏者。1960年代にはランディ・ウェストン、フレディ・ハバード、レイ・ブライアント、ジョニー・バラクーダー、ジュニア・クック、エリック・ドルフィー、ディジー・ガレスピーといったジャズの巨人達としばしば共演する。後に、“キング・オブ・コンガ”と称される。『Message to our Ancestors』（1967年）、『Elements of Now』（1968年）、『Lion　Walk』（1968年）、『Big Black and the Blues』（1972年）をUNI/MCAからリリース。以後、20年以上に渡って活躍。ディジー・ガレスピーの映画　『Havana Bop』に出演したり、モントレー、ニュー・ポート、といったインターナショナル・ミュージック・フェスティバルに参加。

「BAKOBOSANA」

1940年コンゴ民主共和国生まれ。アフリサ・インターナショナル・オーケストラのリーダーで、アフリカでも最も影響力の強いボーカリストでありソングライター。〈ルンバ・コンゴレーズ〉の代表格。コンゴ・ポピュラー音楽の父として知られるグラン・カレが率いるアフリカン・ジャズに参加。1970年にアフリサ・インターナショナル・オーケストラを結成。1971年にモブツ大統領による伝統回帰政策によりタブ･レイと改名、精力的なライブ活動を続け、OK Jazzとともにアフリカの2大バンドとなった。

南アフリカ出身、音楽祭プロモーター、トランペット、フリューゲルホーン、コルネット奏者、作曲家、シンガー。1958年、ジャズ・ミュージカル『キング・コング』に出演。同作は、ミリアム・マケバ、ネイサン・ムドゥレドゥレが出演し、南アフリカで初めて成功したミュージカルとなった。その後、1960年にアパルトヘイトによる暴力の増大により南アフリカを脱出するものの、アフリカのルーツを求め、ギニア、リビエラ、ガーナ、そして1981年にはボツワナに移り住み、南アフリカの音楽スタイル、ンバクァンガを再吸収。南アフリカ・ジャズの最大の貢献者となっている。

アメリカ、ニューヨーク出身のジャーナリスト、ライター、エディター、俳優。『パリス・レビュー』の設立者の一人。ニューヨークの上流階級出身、文芸ジャーナリスト、そして、“参加型”のジャーナリストとして知られている。彼は実際に“プロ”として、スポーツ選手、スタンダップ・コメディアン、映画の悪役、サーカスのパフォーマーなどを体験し、それをウィットに富んだ優雅な散文体で綴り続けた。1998年には、オーラル・ヒストリーと伝統的な伝記を組み合わせて型破りなオーラル・バイオグラフィ『トルーマン・カポーティ』も著した。2002年には、F.スコット・フィッツジェラルドと妻ゼルダ、そしてヘミングウェイの間で取り交わされた手紙を元にドラマ化している。俳優として『アラビアのロレンス』 （1961年）『リオ・ロボ』 （1970年）、『レッズ』、『グッド・ウィル・ハンティング』等にも出演。2003年、マンハッタンの自宅にて死去。享年76歳。

トリニダードの首都、ポート・オブ・スペイン出身。1969年代にアメリカの公民権運動で活躍した黒人活動家。学生非暴力調整委員会（SNCC）初代リーダーとして有名。後にブラック・パンサー名誉会長となる。当初は人種差別撤廃論者だったが、後に黒人国家主義者となり汎アフリカ主義者運動に加わった。 1966年6月5日、ジェームズ・メレディスが人種差別撤廃を訴えるために一人でメンフィスからジャクソンに向けて『恐怖への行進』をスタートさせたが、その翌日狙撃されてしまう。それを聞いたカーマイケル、M. L. キング、フロイド・マキシックなどの公民権運動家は、彼の意思を引き継ぎ、メレディスの名前の下に行進を続けた。6月16日に有名な『ブラック・パワー』スピーチを行い、「この国の黒人よ、団結せよ、伝統を受け継ぎ、連帯感を築け」と呼びかけた。『ブラック・イズ・ビューティフル』というスローガンを掲げ、アフロ・ヘアやアフリカ的な衣装を身につけるといったことを含め、黒人のプライドのムードを高めた。その後、妻、ミリアム・マケバと共に西アフリカのギニアに移住。クワメ・ツレと名前を変えた。1998年11月15日、癌により死亡。

1931年8月20日生まれ、その派手な個性でよく知られる、アメリカの伝説的ボクシング・プロモーター。クリーブランドのゲットーの中心地で生まれ育った彼は、国際的な有名プロモーターになるために既成のシステムを打ち壊した。その人目を引くヘアスタイルと、人を釣り込むような笑い、そして独特なボキャブラリーとが、ドン・キングを世界的に著名な男にした。彼はこれまでに、タイムやスポーツ・イラストレイテッド、フォーブス、エボニー、そしてジェット、またあらゆるほかの雑誌の表紙を飾っている。映画やテレビにも出て、多くのテレビやラジオのトークショーにも出演している。1997年には「ボクシング名誉の殿堂」に迎え入れられ、スポーツ・イラストレイテッドの「過去40年における、最も影響を与えたスポーツ業界の40人の人物」に、ボクシングのプロモーターとしてただ一人取り上げられた。キングのプロモーターとしての功績は30年以上に及び、500以上のワールド・チャンピオンシップを興行している。

「SIMBA NKONI」

1938年、キンシャサ近くのソナ・バタコンゴで生まれる。アフリカ音楽を世界的に広めたミュージシャンとして、ルンバ・コンゴレーズの大スターとして、コンゴ音楽の最高峰と呼ばれる。17歳の時に自らのバンドOKJazz（70年代中頃から、楽団名をT.P.O.K. ジャズ、と改名）を率いて、ギタリストとリード・シンガーとして、そしてバンドリーダーとして活躍。OKJazzは優秀なミュージシャンが数多く参加するようになり、モダンなコンゴ音楽の先鞭となった。70年代以降も、キューバのルンバを発展させたザイーレアン・ルンバとも呼ばれるリンガラ・ポップの築き、89年に亡くなるまでコンゴの音楽の主導権を握っていた。2009年にリリースされたベスト盤は、ミュージック・マガジンの 「2010年ベスト・アルバム〜ワールド・ミュージック部門」に選出された。

「THE CLICK SONG」

アフリカのスタンダードナンバーである「パタパタ」をはじめ、ママ・アフリカとして知られ、アフリカン・ソングの女帝としても知られているシンガー。南アフリカのアパルトヘイト政策に対しては、最も発言力があって目立つ反対者の一人だった。マケバはタウンシップのグループ歌手から国際的なセレブにまでのし上がり、そしてある国々では称えられながらも、別の国々では追放の身となった。今作で歌われる「クリック・ソング」は南部アフリカ言語、コーサ特有の「クリック（吸打）音」がたくさん入っている祝いの歌。コーサ族の言葉は、舌でカッカッカというクリック音が多く使われおり、心臓の拍動を表現している。2008年11月10日に心臓麻痺で亡くなった。

「THRILL IS GONE」

1925年生まれ、ブルース・ギタリストであり、シンガー・ソングライターとして、ブルース界で最もリスペクトを受けるミュージシャンとして現在まで活動を続けている。最初に首位を獲得した「スリー・オクロック・ブルース」以降、数多くの楽曲をR& Bチャートへ送り込む。「スリル・イズ・ゴーン」は、1969年に発表されたアルバム『コンプリートリー・ウェル』に収録され、彼自身の代表作であり、ポピュラー・チャートにもランクインするほどのクロスオーバーなヒットを記録し、グラミー賞も獲得した。

「QUIMBARA」「PONTE DURO」

1925年ハバナ生まれ、ヒット曲「キンバラ」で知られるキューバが生んだもっとも有名な女性歌手であり、サルサの女王。50年代、ソノーラ・マタンセーラのリード・シンガーとして名をはせてから、1959年のキューバ革命後はアメリカに亡命し、ニューヨークに活動の拠点を移す。1974年に音楽監督とリーダーとしてファニアの副社長ジョニー・パチェーコにより結成されたファニア・レーベルのサルサ・アーティストの集合体、ファニア・オールスターズとともに活動を開始。今作では、レイ･バレットがコンガ奏者として、ティンバリ奏者としてニッキー･マレー路が参加している。その後も2001年のアルバム『ラ・ネグラ・ティエネ・トゥンバオ』では2002年ラテン・グラミー賞と2003年グラミー賞を同時受賞するなど勢力的な活動を続けた。2003年7月16日に脳腫瘍でその生涯を終えた。

ザイール（コンゴ民主共和国）の伝統的なダンサー/パフォーマー。

1934年、カメルーン生まれのジャズ・サキソフォン奏者。73年のディスコ・ヒット「ソウル・マコッサ」で知られる。10代の半ばにカメルーンからフランスに渡り、50年代にはナイト・クラブなどでジャズやラテン音楽を演奏。60年代になってコンゴ音楽と出会い、グラン・カレ率いるアフリカン・ジャズのメンバーとして活動。アフリカを代表するアーティストとして活動を続けた。今作ではステージでのシーンはないが、街の通りで子供たちとソプラノ・サックスを演奏している。

フォトグラファー、レコーディング・アーティスト。アメリカ、デトロイト出身。セレブのポートレイト・フォトグラファーとして、またライフ、ニューズウェーク、タイム、ローリングストーン、スポーツ・イラストレイテッド、ELLE、インタビュー誌、US、Bunte、パリス・マッチなど数々の雑誌の表紙、そして、100以上の有名アーティストのレコードのアルバム・カバーを製作。1980年代にはレコーディング・アーティストとなるべく、写真と映画の両方から離れ、ウィル・パワーズの名前でアイランド・レコードと契約。スティング、スティーヴ・ウィンウッド、トッド・ラングレン、ナイル・ロジャーズらと曲を書いた。デビュー・アルバム、『Dancing for Mental Health』は批評家の賞賛を得、シングル『Kissing with Confidence』はイギリスのチャートで第3位を獲得している。

ザイール’74のフェスティバル・プロモーターであり、プロデューサー、サックス・プレイヤー、アレンジャー。ニューヨーク出身、ブロンクスで生まれ育った彼は、ハービー・ハンコック、ドナルド・バード、そして、南アフリカ出身のヒュー・マセケラらとは、マンハッタン音楽学校での同級生である。その後、ポップ、R&Bシーンにおいてアレンジャーとして才能を開花させ、マセケラとプロダクションを設立。R&B、ジャズに南アのグルーヴを加えたサウンドをプロデュース。2人はNYからロサンジェルスに移り、Chisaレコードを立ち上げ、マセケラの『グレイジング・イン・ザ・グラス』をプロデュース。200万枚以上のセールスを記録しポップ・チャート1位になった。その後もレヴァインはプロデューサーとしてジャズ・クルセイダーズ、ミニー・リパートン、ランディ・クロフォード、B.B.キング、スラｲ＆ザ・ファミリー・ストーン、シンプリー・レッドといったアーティストを手掛け、多くの大ヒット曲と生み出した。