1979年カナダ、バンクーバー生まれ。環境運動家、講師、テレビキャスター。8歳のときに訪れたアマゾンで森が燃やされている光景にショックを受け、何かをしなければならないという思いに駆られ、4人のクラスメートと「子ども環境活動(Environmental Children's Organization、略称ECO)」という学習クラブを始める。1992年、12歳になったセヴァンはECOの仲間と資金を集め、リオデジャネイロで行われた地球サミットに出席。各国の代表を前に、自分の発言に責任を持って今すぐに行動に移すよう呼び掛け、人々の記憶に深く残るスピーチで喝采を浴びた。
その後、世界中の国際会議や学校に招かれ講演を行った。1997年にはゴルバチョフ書記長(当時)より国連「地球憲章」の起草委員に任命される。イエール大学に進学し、生態学と進化生物学の学位を取得。2002年にはオンラインのシンクタンクNGO、「ザ・スカイフィッシュ・プロジェクト」を立ち上げ、メンバーとともにヨハネスブルグで行われた地球サミットに参加、コフィ・アナン氏の諮問委員として活躍した。カナダ、アメリカ、イギリスでテレビ番組のプレゼンターを務め、ディスカバリー・チャンネルで1997年から99年に放送された番組「ネイチャー・クエスト」では、ホスト役として出演した。
2002年には初の来日を果たし、講演ツアーを行う。2003年、2007年にはNGOナマケモノ倶楽部とともに、日本で環境キャンペーンを行った。
セヴァンは現在、夫と息子とともに豊かな原生林と先住民族の文化が残るハイダグワイに暮らし、それぞれの家族がそれぞれの子供たちの健康と地球を守ることができるよう、環境活動を続けている。ジャン=ポール・ジョー監督の次回作では、環境ホルモンの疑いがあるビスフェノールAによる中毒、カナダ政府による測定、カナダのGMO(遺伝子組換作物)の問題に取り組む予定。父親は日系3世のカナダ人で世界的に著名な環境活動家、デヴィッド・スズキ。著書に『あなたが世界を変える日』(ナマケモノ倶楽部翻訳、学陽書房発行)、『わたしと地球の約束 セヴァンのわくわくエコライフ』(辻信一翻訳、大月書店発行)などがある。
◆リオの伝説のスピーチ全文(ナマケモノ倶楽部より)
福岡県在住、合鴨農法で完全無農薬の有機米を生産する農家。水田に1400羽の合鴨を放つことで泥が掻き混ぜられ自然に酸素が取り入れられるうえ、害虫も駆除してくれるため、化学薬品を使用する必要がない。古野は30年近くもこの農法を続け、世界的にも注目を集めている。
平成12年に開始された池田町独自の農産物認証制度「ゆうき・げんき正直農業」。化学肥料や農薬に頼らず、土本来の力を引き出していく栽培方法で、食べる人と作る人の健康を考えながら、自然や人に優しい農業を目指している。本作では町に住む270人の子供たちのために、161人の"おばちゃん"たちが有機野菜を育てている様子が取り上げられた。現在では池田町で生産される有機食品が日本全体の0.17%を占めるようになった。
小さいころから自然や動物が大好きだったオンディーヌは、海水族館などで子どもたちと対話したり、ブログで現状をレポートすることでサメの乱獲反対を訴えている。「サメの情熱―パッション・ド・ルカン」という組織を立ち上げ、2010年にはその活動に対してEDF Diversiterre Foundation(フランスの環境保護団体)から表彰された。また、南仏にある子どもたちのための海のサマースクール、「Ecole des enfants de la mer」の後援者として、女性海洋冒険家のモード・フォンテノイ、自然写真家のヤン・アルテュス=ベルトランと共に名前を連ねている。
ジャン=ポール・ジョー監督の前作『未来の食卓』において舞台となった南仏、バルジャック村。エドゥアール・ショーレ村長の発案で、子供たちの未来を守るため"学校給食と高齢者の宅配給食をオーガニックにする"という前例のない試みに挑戦している。本作では、より村に近い生産者から食材を仕入れるため、資金集めに奔走する様子が描かれている。しかし一方で、世界第2位の原発大国であるフランスが抱える弊害にも触れ、村から40キロ先にあるクリュアス原発の前でバルジャック村への影響についても話し合われる。
フランスの孤島、コルシカ島で二人の息子とワインを生産する、コルシカワインの第一人者。アレナが造るワインは入手困難なため「幻のワイン」とも呼ばれ、そのほとんどが星付きのレストランへ買い取られる。コルシカ島の生物多様性を保持するため、ビオディナミ農法を積極的に取り入れている。本土から入ってくる食材によって、島の生産性や経済が壊滅してしまうのではないかと危惧するアレナは、先人の残した自然の財産を守るための努力を怠らない。コルシカ島はチェルノブイリの原発事故の影響で子どものガンが増えているという現実とも闘っている。