COMMENTS 順不同・敬称略 小島章司フラメンコダンサー 濃密な空間と始源のエネルギーに満ち溢れるサクロモンテの洞窟。本作のスペイン語版副題―<部族の賢者たち>―が示す通り、アカデミズムとは無縁の世界に暮らしつつフラメンコの奥深い伝統と人生から学んだ叡智を身につけた彼らはまさに賢者である。幾多の災難を乗り越え、へレスとは両極端に位置するグラナダ派のルーツを今に伝え、欧米の檜舞台で活躍するスターを幾人も輩出したジプシーたちは一人ひとりが生き神様だ。 俵 英三フラメンコ・ギターリスト サクロモンテに暮らしたのは、1984年からの4年間だ。 当時は、読み書きのできるロマはわずかだった。その代わり、感性はとりわけ鋭く、貧しい暮らしのなかに、サクロモンテの自然のなかに、彼らは自分たちの感動を見つけていた。何気ない日常に「!OLE!」はたくさんあった。 沖仁フラメンコギタリスト セビージャ、ヘレスに並んでアンダルシア地方で最も濃いフラメンコが生息する街といえばグラナダをおいて他にはない。いち旅行客としてしかそこを訪れた経験のない僕にとって、サクロモンテの洞窟生まれのフラメンコを垣間見られたのが興味深かった。 作品としてステージに乗る手前にある、ロマの生活に肉薄した生きたフラメンコ。それこそが広くフラメンコと呼ばれる総合芸術の、豊かな源泉だ。そこにフォーカスした本作こそは、貴重な映像作品だ。 ピーター・バラカンブロードキャスター 今や皆高齢者となったフラメンコの歌い手、踊り手、ギタリストたちが語る黄金時代のグラナダの生活、そして記録的な大雨のために活動の場を失ってしまったこと、歌詞の極めて日常的な描写やドキっとするほど開けっぴろげな性の表現など、大好きなブルーズの世界とオーヴァーラップする要素の多いことにびっくりしました。 丸山久美スペイン家庭料理研究家・料理家 炸裂するソウル。そのパワーには様々な背景と思いが秘められている。 彼らの芯にある強さと誇り、その魂の炎を誰も消すことはできない。 次の代までとつづいていく素晴らしさ、レガシーの尊さをこの映画が教えてくれた。 片岡愛之助歌舞伎俳優 "魂の叫びフラメンコ" そう言われる理由がよく分かる作品。 土地に人に根付いた精神、文化、魂。 まっすぐで熱く、むき出しにされた感情はかくも人の心を動かす。 生田智子女優 絶対に真似のできない、魂の込められたフラメンコの世界。 ロマ族の受け継がれた血、体に染みついたリズム、 湧き出る情熱的な感情が、見ている側にも熱く熱く伝わってきました。 フラメンコの聖地、サクラモンテの丘、いつか足を鳴らしてみたい!! 平岳大俳優 現代の超倍速フラメンコとは違い、 この映画の中のフラメンコには時の流れを感じさせる「間」があるように思える。 腕を回しているだけのマルカールなのに、そこに彼らや、 彼らの先祖が生きてきた時間を感じさせてしまうのだ。 フラメンコが河の様に時代を超えて受け継がれていく文化であるならば、 サクロモンテの丘はその源流、岩から滴り落ちる水の雫だ。 本橋成一写真家・映画監督 この映画がぼくにこんなに強烈に語りかけてくるとは思ってもみなかった。それまでぼくの中にあった“フラメンコ”は書物やテレビで得た知識だけだった。映画では次から次へとこの“サクロモンテの洞窟”で生き抜いてきた人たち、今生き抜いている人たちが、言葉ではなく踊りで、身体そのもので語りかけてくる。何かぼくも彼らに語りかけたい、しかし、ぼくがロマの言葉やスペイン語をしゃべれたとしても、通じ合うことはできないだろう。もしぼくが彼らに語りかけられるとすれば、「ぼくも踊る」という言葉でしかないのではないか。たとえ習いたてのつたない踊りだとしても、彼らは聞いてくれるかもしれない。
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順不同・敬称略
小島章司フラメンコダンサー
濃密な空間と始源のエネルギーに満ち溢れるサクロモンテの洞窟。本作のスペイン語版副題―<部族の賢者たち>―が示す通り、アカデミズムとは無縁の世界に暮らしつつフラメンコの奥深い伝統と人生から学んだ叡智を身につけた彼らはまさに賢者である。幾多の災難を乗り越え、へレスとは両極端に位置するグラナダ派のルーツを今に伝え、欧米の檜舞台で活躍するスターを幾人も輩出したジプシーたちは一人ひとりが生き神様だ。
俵 英三フラメンコ・ギターリスト
サクロモンテに暮らしたのは、1984年からの4年間だ。
当時は、読み書きのできるロマはわずかだった。その代わり、感性はとりわけ鋭く、貧しい暮らしのなかに、サクロモンテの自然のなかに、彼らは自分たちの感動を見つけていた。何気ない日常に「!OLE!」はたくさんあった。
沖仁フラメンコギタリスト
セビージャ、ヘレスに並んでアンダルシア地方で最も濃いフラメンコが生息する街といえばグラナダをおいて他にはない。いち旅行客としてしかそこを訪れた経験のない僕にとって、サクロモンテの洞窟生まれのフラメンコを垣間見られたのが興味深かった。
作品としてステージに乗る手前にある、ロマの生活に肉薄した生きたフラメンコ。それこそが広くフラメンコと呼ばれる総合芸術の、豊かな源泉だ。そこにフォーカスした本作こそは、貴重な映像作品だ。
ピーター・バラカンブロードキャスター
今や皆高齢者となったフラメンコの歌い手、踊り手、ギタリストたちが語る黄金時代のグラナダの生活、そして記録的な大雨のために活動の場を失ってしまったこと、歌詞の極めて日常的な描写やドキっとするほど開けっぴろげな性の表現など、大好きなブルーズの世界とオーヴァーラップする要素の多いことにびっくりしました。
丸山久美スペイン家庭料理研究家・料理家
炸裂するソウル。そのパワーには様々な背景と思いが秘められている。
彼らの芯にある強さと誇り、その魂の炎を誰も消すことはできない。
次の代までとつづいていく素晴らしさ、レガシーの尊さをこの映画が教えてくれた。
片岡愛之助歌舞伎俳優
"魂の叫びフラメンコ" そう言われる理由がよく分かる作品。
土地に人に根付いた精神、文化、魂。
まっすぐで熱く、むき出しにされた感情はかくも人の心を動かす。
生田智子女優
絶対に真似のできない、魂の込められたフラメンコの世界。
ロマ族の受け継がれた血、体に染みついたリズム、
湧き出る情熱的な感情が、見ている側にも熱く熱く伝わってきました。
フラメンコの聖地、サクラモンテの丘、いつか足を鳴らしてみたい!!
平岳大俳優
現代の超倍速フラメンコとは違い、 この映画の中のフラメンコには時の流れを感じさせる「間」があるように思える。
腕を回しているだけのマルカールなのに、そこに彼らや、 彼らの先祖が生きてきた時間を感じさせてしまうのだ。
フラメンコが河の様に時代を超えて受け継がれていく文化であるならば、 サクロモンテの丘はその源流、岩から滴り落ちる水の雫だ。
本橋成一写真家・映画監督
この映画がぼくにこんなに強烈に語りかけてくるとは思ってもみなかった。それまでぼくの中にあった“フラメンコ”は書物やテレビで得た知識だけだった。映画では次から次へとこの“サクロモンテの洞窟”で生き抜いてきた人たち、今生き抜いている人たちが、言葉ではなく踊りで、身体そのもので語りかけてくる。何かぼくも彼らに語りかけたい、しかし、ぼくがロマの言葉やスペイン語をしゃべれたとしても、通じ合うことはできないだろう。もしぼくが彼らに語りかけられるとすれば、「ぼくも踊る」という言葉でしかないのではないか。たとえ習いたてのつたない踊りだとしても、彼らは聞いてくれるかもしれない。