死ぬまでに一度は訪れたい、息をのむほど美しいシク教の聖地〈黄金寺院〉ハリマンディル・サーヒブ
インド北西部の都市アムリトサルは、パンジャーブ州にあり、パキスタンとの国境付近にある。シク教徒にとって、もっとも神聖なこの寺院は、巨大な四角形の聖なる池に浮かんだ石造りの孤島に建っている。
なぜ、無料で食事を提供しているの?
シク教とは、16世紀にグル・ナーナクがインドで始めた宗教。シクは弟子、グルは導師を意味する。このグル・カ・ランガル(共同食堂)は、シク教の“宗教、カースト、肌の色、信条、年齢、性別、社会的地位に関係なく、すべての人々は平等である”という教義を守るために考案された500年近く続いている習わしだ。しかし、ここは悲劇の地としても知られている。一つ目の悲劇はイギリス支配時代の1919年。 令状なしの逮捕、裁判抜きの投獄を認める「ローラット法」の成立に反対したインド人たちが、抗議のために黄金寺院の脇にある広場に集結。イギリス軍は見せしめのために、非武装の彼らに対し発砲し、400人以上が死亡する惨事となった。もう一つは、1984年、当時の首相インディラ・ガンディーに対するシク教徒の過激派による反政府運動が起こる。激しい衝突のため、軍隊を黄金寺院へ突入させ、数百人の死者がでる(ブルースター作戦)。その後、シク教を冒涜したとして、インディラ・ガンディーは暗殺される。 パンジャーブ州の過激派反政府運動家たちは、現代も活動を続けており、30年の節目を迎える追悼の式典では、シク教徒同士の衝突が起こった。そうした歴史に翻弄されながらも、無料で食事は提供されていた。