映画『ノーコメント by ゲンスブール』

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コメント

セルジュ・ゲンスブールはぼくらの最も近くに横たわる伝説のようで、たとえばパリを歩けば、いまだに彼の遺した匂いがしみついているのを感じるだろう。
あるいは、その存在はあまりに巨大で、彼のエスプリに触れていることさえ気付かないまま、その毒牙に侵されていることさえある。
すべてがモノローグで綴られるという信じられないようなこのドキュメンタリーで聞く彼の声は、時には弱々しくさえあり、その数々の挑発がいかに内省的なナイーヴさの裏返しだったのかを語っているようだ。
触れられそうで、いつまでもその本質を見せてくれない伝説。
ゲンスブールとの間には、容易には埋められない喪失感が永遠に横たわっている。

─梶野彰一(フォトグラファー/ジャーナリスト)


これは凄い!
セルジュ本人が語りかけ、貴重な映像群が洪水のように誘いかける!決定版だ!
すべての言葉が渇いた心に染みこんでいく!

─サエキけんぞう(アーティスト)


「栄光が私を滅ぼす……」というセルジュらしいつぶやきで幕が開いてから99分間、まばたきもさせないくらいの吸引力で、人の心をとらえて離さない。確かにドキュメンタリー映画でありながら、セルジュの一人称ナレーションと、コクトーの映画に通じるところもあるシュールレアリスティックで詩的な編集が通常言われるところのドキュメンタリーの枠を完全に超えているし、これなら天国にいるセルジュもニヤリと笑いを浮かべること間違いなしだ。

とにかく、言葉と歌、音楽と膨大な量の映像を完璧にコラボレーションさせた監督のピエール=アンリ・サルファティには完全に脱帽。本当に“凄くいいもの”を観せてもらった。

─立川直樹(プロデューサー/ディレクター)


(50音順、計略称)