作品解説

1990年春、ボストンにあるイザベラ・スチュワート・ガードナー美術館に警察官に扮した二人が侵入し、アメリカの美術品盗難史上最高額5億ドル相当(当時)の美術品13点を盗んだ。
レンブラントの『ガリラヤの海の嵐』、そしてフェルメール―遺されているたった35作のうちのひとつ、『合奏』である。ガードナー美術館は、500万ドルの懸賞金を出した。しかし時が経っても、 どれひとつとして戻ったものはない。かつて名作のあった場所には、空の額だけがかけられている。

いったい誰が何の目的で盗んだのか。盗難事件に関わった者として、アイルランド系地下組織の大物や美術品泥棒から米国上院議員、元大統領の名までが挙げられ、日本人コレクターによる依頼だという説もあったという。 手がかりは些細な情報と、これまでの探偵稼業で培ったコネクションのみ。ハロルド・スミスの捜索とともに、美術品犯罪の全貌が垣間見えてくる。

映画監督のレベッカ・ドレイファスは、少女の頃に『合奏』に出会い、その神秘的な美しさに圧倒された。『合奏』の盗難を憂いたドレイファス監督は、世界的にも有名な絵画探偵ハロルド・スミスに電話した。彼女の留守電にスミスからの伝言が残っていた。
 「レベッカ、よく考えてみました。これは絶好の機会だと思います。あの事件以来、絵の所在が気になって夜中でも目が覚める。この機会に絵の在りかを突き止めましょう」

そして撮影は始まり、事件の真相に近づいていく。

この映画は、フェルメールの盗まれた絵画を、絵画探偵ハロルド・スミスが生涯をかけて犯人捜索にあたったドキュメンタリーである。

★FBIのホームページでは、現在も本件に関する手配書が公開されている。
http://www.fbi.gov/hq/cid/arttheft/topten/isabella.htm
http://www.fbi.gov/hq/cid/arttheft/northamerica/us/isabella/isabella.htm

FBIホームページにて現在も公開されている手配書 >> こちら

作品解説

■ 二階の「オランダ室」6点
フェルメール 「合奏」
レンブラント 「ガリラヤの海の嵐」
レンブラント 「黒装束の夫人と紳士」
レンブラント 「若き芸術家の自画像」
ホーフェルト・フリンク 「オベリスクのある風景」
中国・殷時代の青銅製の大杯

■ 二階の「ショート・ギャラリー」6点
ドガ 「パドックからの退場」
ドガ 「三人の騎手」
ドガ 「フローレンス近郊の行列」
ドガ 「芸術的な夜会のためのプログラム」
ドガ 「芸術的な夜会のためのプログラム」
旗竿の先の金メッキの鷹の彫刻

■ 一階の「ブルー・ルーム」1点
マネ 「トルトニ亭にて」

作品解説


監督:レベッカ・ドレイファス
撮影:アルバート・メイズルス、レベッカ・ドレイファス 編集:マーカス・ピーターズ、リズ・ルデン 音楽:ピーター・ゴラブ
脚本:シャロン・ガスキン プロデューサー:スザンナ・ルドウィグ 出演:ハロルド・スミス、グレッグ・スミス
2005年/アメリカ/83分/カラー/スタンダード/ステレオ/video 日本語字幕:MES 字幕監修:朽木ゆり子 配給:アップリンク