グレン・グールド Glenn Gould
1932年9月25日、トロントに生まれる。3歳から母親にピアノの手ほどきを受け、トロント王立音楽院でオルガンとピアノを学び、46年にピアニストとしてデビュー。
55年にはコロンビアレコードより米国デビューを果たす。同年録音したアルバム『バッハ:ゴールドベルク変奏曲』ではバッハの斬新な解釈、画期的な録音と演奏で、レコードはベストセラー。そのルックスと共に一躍時代の寵児となる。バッハ、モーツァルト、ベートーヴェン、シェーンベルク等をレパートリーの中心に据えて、演奏会活動と録音に励む。57年にはソ連や欧州をまわり、カラヤンと共演するなど実績を積み、1962年にはバーンスタインが、グールドとのブラームスに対する見解の相違を聴衆に説明して話題になる。1964年シカゴでのリサイタルを最後にコンサート活動からの引退を宣言。
以後レコード録音やラジオ、テレビなどの放送媒体のみによる演奏活動に入る。同時に音楽とメディアをめぐって文筆活動を行なう。トーマス・マン『魔の山』、夏目漱石の『草枕』を愛読していることでも有名な文学青年で、カナダ放送協会から『北の理念』など、複数のインタヴュー音声を重ねて流す、まるで音楽作品のようなラジオ・ドキュメンタリー集、孤独三部作の制作を手がけた。1981年、デビュー作と同じく『バッハ:ゴルトベルク変奏曲』を再録音する。1982年10月4日、脳卒中により急逝。享年50歳。
- 1932年
- 9月25日 トロントに生まれる。
- 母親からピアノの手ほどきを3歳から受ける。
- 1940年
- トロント王立音楽院に合格。
- 1944年
- トロントでのピアノ演奏のコンペティションで優勝。
- 1945年
- オルガン奏者としてデビュー。
- 1946年
- トロント交響楽団と共演しピアニストとしてベートーヴェン「ピアノ協奏曲第4番」で正式デビュー。
- トロント王立音楽院を最年少で最優秀の成績で卒業。
- 1947年
- 初リサイタルを行って国内での高い評価を得る。
- 1955年
- ワシントン初演奏を行い、ワシントン・ポスト誌に「いかなる時代にも彼のようなピアニストを知らない」と高い評価が掲載される。
- ニューヨークでの公演では、米国CBSのディレクター(d.オッペンハイマー)がグールドの演奏に惚れ込み、翌日終身録音契約が結ばれる。
- 1956年
- デビュー盤としてバッハの『ゴルトベルク変奏曲』を録音。
- ハロルド・C・ショーンバーグのような大御所批評家からも絶賛され、ヴォーグ誌やザ・ニューヨーカー誌といった高級誌もグールドを賞賛する。
- 1964年
- シカゴ・リサイタルを最後にコンサート活動からは一切手を引く。
- 1967年
- カナダ放送協会が、グールドの製作したラジオドキュメンタリー「北の理念」を放送する。
- その後も、「遅れてきた者たち」、「大地の静かな人々」といったラジオドキュメンタリーが放送される。
- 1981年
- バッハの『ゴルトベルク変奏曲』を再録音。
- 1982年
- 脳卒中によりトロント総合病院に緊急入院。10月4日 死去。50歳没。