映画『ダブリンの時計職人』

コメント

ホームレスが美しい。ジャンキーが美しい。老女が美しい。街の夜景が花火のように美しい。枯れ葉が落ちる瞬間が美しい。海辺の駐車場までが美しい。ピアノの音色が美しいのは当たり前だが、誰かの為にこしらえた曲はピアノがなくても楽譜があればそれより美しい。
この映画は人生とはかくも美しいものだと言うことを教えてくれる。そしてその人生は誰もが必ず挫折する。しかし何年たとうがやり直せる。それはまさに時計だ。主人公の時計職人に人生の美しさを教えてくれたジャンキーの青年。彼は壊れた時計。彼の父親は息子を見捨てた。時計職人は見捨てなかった。
人生に絶望している人はきっとこの映画が何らかの助けになると思う。

─立川志らく 落語家

ダブリンの時計職人

主人公のフレッドが、ホームレスになっても自暴自棄にならないところに見ていて助けられました。起きたら音楽をかけ、小さな植物に水をやって、トランクのところで歯を磨くシーンはちょっとうらやましかったです。プールで見せた白くぽよよんとしたお腹とひょろ長い足が、全然格好良くなくて、普通のおじさんらしいなと思いその場面を描きました。

─なかむら るみ イラストレーター

人の暮らしは 小さくまたたく灯みたいだ。 慎ましやかで せつなくて いとおしくて 哀しい。
それでも 人は人に出会って 世界がまた ぱっと輝く瞬間に 導かれる。
この映画に出会えて ほんとうに よかった。

─枝元なほみ 料理家 ビッグ・イシュー基金理事

「君がホームレスになったらどうなる?」と見ている間ずっと問いかけられていた。多分あの主人公ほど几帳面で清潔な生活は出来ないだろう。若者との心を開いた付き合いも出来ないだろう。だが、誰にでもすぐれた優しい一面がある、と身を持って知る経験は出来るだろう。

─上野 格 日本アイルランド協会元会長 現理事 成城大学名誉教授

ダブリンの海岸沿いの駐車場で、車上生活を送るくたびれた中年男。なのに自分と遠い話とは思えず、親密な感情を抱かずにいられない。彼の一挙手一投足から滲み出る様々な感情が、まるで自分の中に流れ込んでくるよう。祈るような気持ちで彼の動向を見守り、境遇も年齢も性別もまちまちな、けれど居場所を失った孤独が引きあう3人のささやかな交流が、心に沁みる。ラスト、微かに差し込む希望の光の温もりに、思わず胸が震えた!

─折田千鶴子 映画ライター

”おっさんレンタル”がテーマとしている、「おっさんと若者の隔たりをなくし、お互いを学び、人生を共に歩ける」そんな思いを強く感じた映画です。90分間吸い込まれる内容で、ラストは少し元気になり、おっさんである自身をもっと誇りに思おうと感じられた時間でした。サラリーマンのおっさん、部下のマネジメントに悩んでいる方、ぜひ観てください。

─西本貴信 おっさんレンタル

主人公である冴えない男フレッドが同じホームレスの若者カハルに出会い半ば強引に背中を押され少しずつ前に進みだす様がまるでドキュメンタリーのようだ。
人は変化を求め変化を恐れる。それでも徐々に歯車が回り始めていく3人の様子をアイルランドの抱える問題を背景に描かれている。

─平田英人 THE WILD ROVER主催

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