忘れない、パレスチナの子どもたちを

アップリンク
パレスチナ映画特集
10.1 fri ROADSHOW
アップリンク吉祥寺・アップリンク京都ほか全国順次公開
映画料金のうち100円をガザの子どもたちに寄付します
寄付先:認定NPO法人 パレスチナ子どものキャンペーン
「200円」で「炊き出し1食分」相当となります。
パレスチナ・ガザ緊急支援にご協力をお願いします!パレスチナ・ガザ緊急支援にご協力をお願いします!
監督:ムハンマド・サウワーフ&
マイケル・ウィンターボトム
ナレーション:ゾーイ・ウェイツ(英語版)、坂本美雨(日本語版)
音楽: マックス・リヒター 撮影監督:サラ・アルハウ 編集: マイケル・ウィンターボトム&オットー・ヒルズ・フレッチャー
録音技師: メルワン・アル・サワ サウンドエディター、リレコーディングミキサー:ロバート・ファー
カメラオペレーター: ハソナ・アルジェルジャウ カメラアシスタント: ムハンマド・カデル
録音技師: メルワン・アル・サワフ プロデューサー: ベン・ピアース、ハシム・アルサラフ、ムハンマド・サウワーフ、マイケル・ウィンターボトム
エグゼクティブプロデューサー:メリッサ・パーメンター 脚本・演出:佐野伸寿
イギリス/2022年/英語・アラビア語/84分/DCP/カラー/原題:ELEVEN DAYS IN MAY/
日本語字幕翻訳:M.Nakamura/字幕監修:師岡カリーマ・エルサムニー/配給・宣伝:アップリンク
  • DICE+|ミニシアター・サブスク
  • UPLINK
  • 映倫審査分類はG区分ですが、劇中子どもの遺体など
    刺激的な描写がございますので、ご鑑賞にはご留意ください。

アップリンク:
パレスチナ映画特集

  •  映画『私は憎まない』
  • 映画『ガザ=ストロフ –パレスチナの吟(うた)–』
  • 川上泰徳パレスチナ・イエスラエル現地最新報告会
  • ハービー・山口:パレスチナ写真展

予告編/本編抜き映像

予告編

本編抜き映像

イントロダクション

パレスチナ映画監督ムハンマド・サウワーフとマイケル・ウィンターボトム共同制作パレスチナ映画監督ムハンマド・サウワーフとマイケル・ウィンターボトム共同制作
日本語版ナレーションは坂本美雨が担当

2021年5月の11日間。イスラエル軍の空爆により少なくとも67人のガザの子供たちが亡くなりました。昨年の10月7日にはハマスとイスラエル軍の対立が激化し、未だ停戦の兆しが見えないまま今も犠牲者が増え続けています。ガザ保健省の2024年5月6日の発表によると、死亡者数はおよそ3万5034人で、そのうちの4割にあたる約1万5000人が子供だそうです。

攻撃が起こった当時、ニュースを見たイギリス人映画監督のマイケル・ウィンターボトムは、パレスチナ人映画監督のムハンマド・サウワーフと協力し、これらの若い犠牲者を追悼する映画を作ろうと決意しました。そしてその攻撃からわずか1か月後、ムハンマドとウィンターボトムのドキュメンタリー映画『忘れない、パレスチナの子どもたちを』の撮影が開始されました。

そして、サウワーフは約100時間分の映像をウィンターボトムに送り、ウィンターボトムはロンドンの編集室でマックス・リヒターの音楽、ゾーイ・ウェイツのナレーションを加え映画を完成させました。

日本版では、ガザ人道支援の資金を集めるためのオークション「Watermelon Seeds Fundraiser」を開催するなどパレスチナの情報を発信している坂本美雨が担当した。

  • ◉本作の映倫審査について、イギリスではR18での上映でしたが、日本では多くに人に観て欲しいというコメント付きで、異例の一般作品としてのG指定となりました。ただしお客様には遺体が描写されるシーンがある旨を事前告知するようにと言われました。
  • ◉入場料から1人100円をガザの子どもたちを支援している団体に寄付いたします。

ストーリー

本作は、2021年5月にガザで空爆により亡くなった子どもたちをパレスチナ映画監督ムハンマド・サウワーフとイギリス人映画監督マイケル・ウィンターボトムが共同で制作したドキュメンタリー。英題は『ELEVEN DAYS IN MAY』で、5月の11日間で少なくとも67人のガザの子供たちが亡くなったことを元に映像化しています。

当時のアーカイブと個人の証言を通じて、世界中の子供たちとほぼ同じ希望、夢、野心を持つ、男の子や女の子としてそれぞれの子供たちの物語を語ります。

そして、映画『メッセージ』の音楽で知られ、日本でも人気の高いマックス・リヒターの音楽により人々の情感に語りかけるような映画となっています。

監督メッセージ

戦争の厳しさにもかかわらず、撮影中に家族の話を聞き、子供たちを失った悲しみを目の当たりにしたとき、
彼らの反応は戦争そのものの経験よりも私たちにとってつらいものでした

ムハンマド・サウワーフ

遠い国の戦争について聞いても、あまり心配しないのは簡単です。この映画は、子どもたちと、彼らを悲しむ家族に声を与えようとしています。
人々が彼らの話を聞けば、彼らは忘れ去られることはないでしょう

マイケル・ウィンターボトム

監督/スタッフ

マイケル・ウィンターボトム
監督

マイケル・ウィンターボトム

Michael Winterbottom

マイケル・ウィンターボトムは、ユダヤ人ジャーナリストのダニエル・パールが過激派に殺害された事件を描いたアンジェリーナ・ジョリー主演の『マイティ・ハート』でカンヌ映画祭のフランソワ・シャレー賞を受賞しました。彼は、政治的暴力の凶悪な影響を体験するジャーナリストのグループを描いた『ウェルカム・トゥ・サラエボ』でパルムドールにノミネートされました。

『イン・ディス・ワールド』はベルリンで金熊賞、外国語映画部門で英国アカデミー賞を受賞しました。

『ザ・ロード・トゥ・グアンタナモ』はベルリンで最優秀監督賞 銀熊賞、最優秀ドキュメンタリー映画部門で英国アカデミー賞を受賞しました。 『ワンダーランド』は最優秀作品賞で BIFA を受賞。『ジェノバ』はサンセバスティアンで最優秀監督賞のシルバーシェルを受賞。

マイケル・ウィンターボトムはオックスフォード大学で映画とテレビのヒューマニタス客員教授を務めている。オックスフォード大学ベリオール・カレッジの名誉フェローであり、ブリストル大学の名誉文学博士でもある。

FILMOGRAPHY

ムハンマド・サウワーフ
監督

ムハンマド・サウワーフ

Mohammed Sawwaf

ムハンマド・サウワーフ(監督/プロデューサー)は、ジャーナリスト、監督、脚本家、そして Alef Multimedia Company の創設者兼マネージャー。過去 14 年間、映画制作とマルチメディアの分野で活動し、映画制作で数々の国際賞を受賞しています。

受賞歴

2014 年、アルジャジーラ国際映画祭で長編ドキュメンタリー部門の金賞を映画「The storyteller」で受賞。短編部門の最優秀賞は、映画「I am not disability」でアリ・アルジャベル人権賞。2013 年、ラマラで映画「Doha's Story」で「Witness to Creativity Festival」の最優秀賞を受賞。2011 年、ガザ自由フェスティバルで映画「Welcome to Gaza」の最優秀賞を受賞。

FILMOGRAPHY(監督 兼 脚本)

『The Storyteller』
パレスチナのストーリーテリングの芸術と、それがパレスチナの口承文化の維持に果たす役割を扱った 92 分のドキュメンタリー映画。2015 年のアルジャジーラ映画祭で最優秀賞を受賞し、英語、スペイン語、ドイツ語など複数の言語に翻訳されました。
『Muin Bseiso』
パレスチナの詩人で政治家の Muin Bseiso の生涯を扱った映画。
『アブ・ハリマ』
2008年のイスラエルによるガザ攻撃で被害を受けたアブ・ハリマ一家の生活をモニタリングしたアルジャジーラ制作の人権映画。
『精子密輸』
パレスチナ人囚人がイスラエルの刑務所から妻に精液を密輸する様子をモニタリングした70分の映画。数か国語に翻訳された。
『カメラの背後には人間がいる』
パレスチナ自治区での危機と戦争の時代におけるジャーナリストの生活を扱った映画。
『切断された血管』
外界とのつながりが欠如しているガザの人々の生活をモニタリングした50分の映画。
『ショクリ・ベライドを殺したのは誰か』
チュニジアの政治家ショクリ・ベライドの犯罪的暗殺を調査する捜査スタイルの映画。
『あなたはどのラファ出身ですか』
ラファ市の歴史と、パレスチナとエジプトの2つのラファ市を隔てる壁が両側の家族の生活に与えた影響を調査する人道映画。
『忍耐強いガザ』
オックスファムのために制作された、ガザ地区の水質汚染問題を取り上げた映画。欧州議会やその他の国際フォーラムで上映されました。
『希望がある』
2014年のガザ攻撃の犠牲者の戦争体験をモニターする10分の短編映画。
『IMDb ミニ伝記』
作者: ezz dallol
音楽

マックス・リヒター

Max Richter

1966年3月22日ドイツ・ハーメルンに生まれ、イングランド・ベッドフォードで育つ。

エディンバラ大学と英国王立音楽院でピアノと作曲を学んだ後、フィレンツェでルチアーノ・ベリオに作曲を師事。2002年、オーケストラとエレクトロニクスのための『メモリーハウス』でソロ・アルバム・デビューを果たす。

その後、イラク侵攻に反対する目的で作曲された『ブルー・ノートブック』(2004)、村上春樹の小説にインスパイアされた『ソングズ・フロム・ビフォー』(2006)、携帯電話の着信音を変奏曲形式で作曲した『24 Postcards in Full Colour』(2008)、ロンドン地下鉄テロ犠牲者を追悼した『インフラ』(2010)、ヴィヴァルディ《四季》全曲をリコンポーズ(再作曲)した『25%のヴィヴァルディ』(2012、英米独iTunesクラシックチャート第1位)、睡眠中のリスニングを前提とした8時間の大作『スリープ』(2015)、作家ヴァージニア・ウルフの小説と生涯を音楽化した『3つの世界:ウルフ・ワークス(ヴァージニア・ウルフ作品集)より』(2017)と、新作を発表するたびに斬新な作曲アプローチに挑み、クラシックとエレクトロニカを融合したポスト・クラシカルのカリスマ作曲家として絶大な人気を集める。

映画・テレビのサウンドトラックも数多く手がけ、『戦場でワルツを』(2008、ヨーロッパ映画賞作曲賞)、『さよなら、アドルフ』(2014、バイエルン映画賞作曲賞およびストックホルム映画祭作曲賞)、『LEFTOVERS/残された世界』(2014-17、HMMAテレビテーマ作曲賞)、『女神の見えざる手』(2016)、『TABOO タブー』(2017)、『ふたりの女王 メアリーとエリザベス』(2018、HMMA劇映画作曲賞)などで高い評価を得ている。

映画『メッセージ』(2016)に使用された《オン・ザ・ネイチャー・オブ・デイライト》(『ブルー・ノートブック』収録曲)は公開時、日本でもiTunesクラシックチャート第1位を獲得した。

FILMOGRAPHY

  • 『戦場でワルツを』(2008年)
  • 『愛を複製する女』(2010年)
  • 『サラの鍵』(2010年)
  • 『パーフェクト・センス』(2011年)
  • 『許されぬ人たち』(2011年)
  • 『さよなら、アドルフ』(2012年)
  • 『少女は自転車にのって』(2012年)
  • 『ディス/コネクト』(2012年)
  • 『コングレス未来学会議』(2013年)
  • 『めぐり逢わせのお弁当』(2013年)
  • 『ラスト・デイズ・オン・マーズ』(2013年)
坂本 美雨
ナレーション

坂本 美雨

Miu Sakamoto

1980年、音楽一家に生まれ、東京とNYで育つ。1997年、「Ryuichi Sakamoto feat. Sister M」名義で歌手デビュー。音楽活動に加え、ラジオテレビ司会、ナレーション、執筆、演劇など表現の幅を広げている。
動物愛護活動をライフワークとし、著書『ネコの吸い方』や愛猫“サバ美”が話題となるなど、“ネコの人”としても知られる。児童虐待を減らすための『こどものいのちはこどものもの』の発起人の一人でもある。
また、アーティストによるガザの人道支援を集めるためのオークション《Watermelon Seeds Fundraiser》を2024年8月に開催し、第2弾も計画中。

2011年よりTOKYOFM/JFN系全国ネット『坂本美雨のディアフレンズ』のパーソナリティを担当。
2024年4月よりNHK Eテレ「日曜美術館」司会に就任。

2021年、アルバム「birds fly」をリリース。「東京2020パラリンピック」開会式でパラ楽団のボーカルとして「いきる | LIVE」を歌唱。
2022年、活動25周年を迎え、記念シングル「かぞくのうた」、娘との日々を綴ったエッセイ「ただ、一緒に生きている」(光文社)を上梓。
2023年12月に韓国(ソウル)でワンマンライブを開催した。
最新作はEP『あなたがだれのこどもであろうと』 。

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監督インタビュー

ムハンマド・サウワーフ&
マイケル・ウィンターボトム
インタビュー

英国人映画監督とガザのムハンマド・サウワーフが共同監督した『5月の11日間』は、昨年の戦争で亡くなった子供たちに焦点を当てている。

イギリス、ロンドン –セルヒオ・ラモスとレアル・マドリードのすべてを崇拝する少年。ジャーナリストになりたかった少女。脳に疾患があり、毎食トマトを食べるのが大好きだった7歳の少女。ドアの後ろでかくれんぼをすることに飽きることのない幼児。はいはいを覚えたばかりで、兄弟からキスを浴びせられる生後7か月の男の子。

これらは、昨年2021年の5月にイスラエルが11日間にわたってガザ地区に対して行った爆撃作戦で殺害された67人の子どもたちの一部である。

睡眠中に暴力的な死を遂げた人もいれば、自宅や近所で遊んでいるときやちょっとした用事を済ませているときに殺された人もいた。

占領下の東エルサレムをめぐる緊張が高まるなか、紛争が勃発した。イスラエルはハマスの軍事力に打撃を与えるつもりだと主張したが、人権団体や複数の政府は、子どもの犠牲者数の増加(その圧倒的多数がパレスチナ人)に警戒感を強めていた。

著名な映画監督マイケル・ウィンターボトムは、英国からの攻撃のニュースを見た後、これらの若い犠牲者を追悼する映画を作ろうと決意し、現地のパレスチナ人映画監督ムハンマド・サウワーフと協力した。

サウワーフ氏は約100時間分の映像をウィンターボトム氏に送り、ウィンターボトム氏はロンドンの暗い編集室でケイト・ウィンスレット氏のナレーションによるドキュメンタリーを編集した。

  • Q:多くの悲劇が起きているガザでの出来事を扱った西側諸国の監督はほとんどいません。それはなぜだと思いますか?
  • マイケル・ウィンターボトム分かりません。私の視点からすると、ほとんどの人と同じようにニュースで見たので、起こっていることは衝撃的だと感じました。もちろん。でも、以前にも起こったことなので、衝撃的でした。ニュースで見たものは忘れてしまいます。忘れてしまうから、同じことが何度も起きるのかもしれません。おそらく、そのような出来事やそのときの気持ちを覚えていれば、再び起こる可能性は低くなるでしょう。
  • ムハンマド・サウワーフおそらく理由の一つは、イスラエルがいかなる批判も受け入れようとしないことです。イスラエルはいかなる批判にも素早く反応し、直接であれ、欧州のロビー団体を通じてであれ、そのような批判をする者と戦います。
    こうした映画製作者や影響力のある人々の中には、イスラエルの物語、パレスチナのイメージの歪曲、そして特にガザにおけるパレスチナに対する否定的な固定観念の確立に影響を受けた人もいるかもしれない。
  • Q:あなたがこの特定のテーマ、つまり子供の喪失に関心を抱いたきっかけは何ですか?
  • ウィンターボトム親として、想像できる最悪のことは子供を失うことです。ガザの人々にとって、それは以前にも起こったことであり、また起こっています。親としての気持ち ― 子供を守れるか、面倒を見ることができるか? そこに焦点を当てると良いことのように思えました。
    [映画では] 次から次へと子供たちの物語が描かれ、少しずつ彼らのことを知るようになる。その積み重ねこそが力強いのです。
    これによって、爆撃は問題の解決策ではないと人々が気付くことを願っています。そう感じる人が増えれば増えるほど、爆撃が続く可能性が低くなると考えるのは素晴らしいことです。
  • Q:あなたの映画の初期のレビューのコメント欄で、あなたはすでに反ユダヤ主義者として非難されています。このレッテルについてどう思いますか?
  • ウィンターボトム私はそのようなことは考えていません。明らかに間違っています。私たちの映画はガザの人々に何が起きているかを描いています。それが反ユダヤ的だというのはばかげています。
  • Q:ヨーロッパで大きな紛争が起きているときに、中東戦争に関する映画を公開しています。両方の悲劇の犠牲者に対する反応をどのように比較できるのでしょうか。あるいは、比較すべきなのでしょうか。
  • ウィンターボトムウクライナであろうとガザであろうと、子どもを失う家族の経験は同じです。私たちの対応は異なっていると思います。ウクライナ戦争に対する反応は、戦争を止めるために何かをしなければならない、行われていることはひどい、それを行っている人々は間違っている、爆撃を受けている人々を助けるためにできる限りのことをすべきだ、というものでした。
    それがガザで起きていること、あるいはイエメンで起きていることに対する私たちの本当の反応だとは思えません。結局のところ、今世紀、私たち自身もかなりの爆撃を行ってきました。
    ウクライナで起きていることに対する人々の反応や感情が、ガザであろうと他の場所であろうと、世界中の他の紛争についても同じように感じるべきだと人々に思わせるきっかけになればよいと思います。
  • サウワーフ残念ながら、西側諸国が戦争とその犠牲者の恐ろしさに気づき、実感するまで、ヨーロッパで戦争が起こるのを待たなければなりません。
    パレスチナ人からウクライナ人への同情が溢れているにもかかわらず、パレスチナとウクライナで起きていることを比べるのは時々不安に感じます。痛みを経験した人にとって、他人の痛みを感じるのはとても簡単なことです。
    ガザの人々とパレスチナ人全体は、長年戦争と喪失の痛みに苦しんでいます。しかし、これまでと違うのは、ウクライナは、自分たちを支持し、共感し、難民を受け入れ、彼らに安全を提供してくれる人を見つけたということです。
    抑圧者であるロシアに制裁を課した国々が見つかったが、残念なことにガザは16年間も包囲されており、逃げられる安全な場所がない。
    イスラエルでは、誰もが被害者に対して耳と目を閉じています。
    イスラエルは国際社会から罰せられたり抑止されたりすることはなく、この貧しく包囲された地域で次から次へと戦争を続けている。このため人々は希望を失っている。ここに住む多くの人は、世界はイスラエルを劣等人種とみなしており、彼らの血は他の人種の血よりも安いと考えている。
  • Q:こうした異なる反応の背景には何があるのでしょうか?
  • ウィンターボトム人々を知るようになると、彼らをもっと大切に思うようになります。彼らが安全であってほしいと思うのは人間の自然な本能です。彼らが攻撃されることを望まないのです。
    相手のことを知らなくても、攻撃者のことをよく知っている場合は、別の視点から見ることができます。
    ウクライナに関する報道は、ほとんどすべて爆撃を受けた人々の視点から行われており、メディアはシリアで行ったのと同じように、そうした人々をうまく伝えてきた。
    おそらくガザでは、私たちはガザの家族や子供たち、ガザの普通の生活をあまり見ていません。人々は私たちが彼らのことをよく知っているとは思っていないので、私たちはあまり気にかけないのです。
    それがこの映画のコンセプトです。私たちは、子供たちやその家族について少しずつ知ることができます。彼らが殺されたことの悲劇をより深く知ることができます。
    この映画が感動的なものであり、観ると家族の喪失と悲しみを深く理解できるものになることを願っています。インタラクティブ ガザ戦争記念日。
  • Q:どのようにして登場人物たちにそのようなトラウマ的な出来事について話すよう説得したのですか?また、どのようにして彼らを安心させたのですか?
  • サウワーフ私たちは、子どもたちに傷を癒すよう求めましたが、同時に、人々が彼らの声を聞き、子どもたちに会うことの大切さを説得しました。子どもたちはニュース速報で数えられる単なる数字であってはならない、そして、世界中の子どもたちと同じように、子どもたちも幸せな未来を夢見ていることを誰もが知るべきだと伝えました。
    私たちは家族たちと友情を築くことができました。彼らと一緒に座り、何度も訪問し、信頼関係を築きました。これにより、カメラの前で話すことの必要性を彼らに納得させることができました。
    彼らが子供たちの持ち物やおもちゃ、本や鉛筆を取りに行くとき、それは家族にとって、事件そのものを語るよりも悲劇的で辛いことでした。そして私たちチームにとって、彼らの話を聞くことは戦争そのものよりも困難でした。
  • Q:あなたの映画では、攻撃直後の子どもたちの死体や、葬列で墓地に運ばれる子どもたちの姿が映し出されています。こうした悲惨な場面を映すかどうかは、どのように決めたのですか?
  • ウィンターボトムアーカイブの多くは、子供たちが幸せで生きていたときの写真や、亡くなったときの写真など、家族からモハメッドに渡されたもので、映画に含めてほしいと彼らが望んだものです。私たちが彼らに頼んだり、説得しようとしたわけではありません。
    人々を記憶する方法は文化によって異なりますが、おそらくイギリスではそんなことは起こらないでしょう。
    それらを見ることは私にとって重要だと感じました...ある意味、それはなぜそれらを見せるのかということに一部関係しています。私たちは、それがどれほどひどく、恐ろしいことなのかを見せようとしているのです。
  • Q:ガザ保健省によると、この紛争で少なくとも261人が死亡しました。イスラエル側では、タイ人労働者2人、イスラエル在住のパレスチナ人1人とその娘を含む13人が死亡しました。この映画に対する批判として、イスラエル人の犠牲者を登場させないという選択が挙げられますが、それについてはどうお考えですか?
  • ウィンターボトム私の視点から言えば、これはガザの人々のために作った映画です。それは正当なことだと思っています。すべてのことを同時に扱う映画を作る必要はないと思います。これは爆撃作戦で子供を失ったガザの家族と話をすることについての映画です。
  • Q:ロシアやシリアと比べて、イスラエルの指導者を戦争犯罪で裁くよう求める世界中の政治家の声が少ないのはなぜだと思いますか?
  • サウワーフイスラエルがパレスチナ人に対して行った違反行為や犯罪は明白であり、人権団体やイスラエルを非難する国連の報告書にも記録されている。しかし、世界各国の政府の立場は、共犯ではないにせよ、控えめで軟弱だ。

コメント/寄稿

順不同・敬称略
  • いまパレスチナで起きていることは”戦争”でも“宗教の争い”でも
    ”ハマスが10月7日にしたことへの報復”でもなく、
    76年間続いてきたイスラエルによるパレスチナ人の虐殺と民族浄化です。
    いまこの瞬間も世界は、無実の子どもが殺されることを許している。
    好きなことがあった、やりたいことがあった子どもたち。
    この映画は消されてしまった命の一つ一つの物語を、私たちの胸にひとりひとり、刻みつける。

    坂本美雨
    (ミュージシャン)

  • ガザの子どもたち。愛くるしくキラキラ輝く大きな瞳。
    普通に夢や希望を持つこの子たちが、今、今日、明日、その尊い命を落とすかもしれない。友達や家族を失うかもしれない。

    パレスチナに生まれ落ちたというだけで、夢や希望を遮断され、
    翌朝に目を覚ますことも保障されない子どもたちのこの現実に、心が痛む。
    20数年前に、『プロミス』に少しだけ関わらせていただいた。
    輝く大きな瞳の素直な少年少女たちは、今も元気でいるだろうか。
    夢をかなえているだろうか。母や父になっているだろうか。それとも…。

    私は10代の子たちの母親だけれど、今も続くパレスチナの状況を自分事として考えたときに、母親として到底受け入れられないし、乗り越えられないと感じた。
    海外ニュースからだけでは見えてこない厳しい現実を、作品は教えてくれている。

    心が痛くてしかたない。

    芝崎直子
    (映画『プロミス』字幕翻訳者)

  • 飛行機に乗って旅行には気軽に行くのに、戦争はどこか遠くの関係ない場所で起こっていると思える感覚ってあまりに都合が良くて狂気じみている。
    悲劇の切り抜きを見ると同情や憤りが瞬間的に爆発する。そうして他者を思えた気になって、満足したら自分のことで頭がいっぱいになっている日常。
    私はそうやって毎日子どもたちを見殺しにし続けている。
    『忘れない、パレスチナの子どもたちを』。映画が終わると忘れたように日常へ戻っていく鈍感な私を引き留めているように聞こえてくる。

    呉城久美
    (俳優)

  • この映画を見てイスラエルに対し怒りを覚えずにはいられない。でも、僕らは怒りで解決を望んではいけない。怒りはさらなる悲劇しか生まないから。

    憎むべきは戦争であって無実のユダヤの人々ではない。
    分断を煽るような偏った意見にも惑わされてはいけない。

    子供たちの未来に我々が出来ること、それは怒りではないと信じたい。
    亡くなったパレスチナの子供たちに心より哀悼の意を表しますとともに、ご冥福を心よりお祈り申し上げます。

    工藤将亮
    (映画監督)

  • スーパーマンは何をしているのか?
    おそらくはアメリカ大統領から
    「政治問題なのでくれぐれも首を突っ込まないでいてくれたまえ」
    と言われているに違いない。
    だが、神経症的正義の味方の彼が何もしないでいられるのか?
    多分、クラーク・ケントとして出来る限りのことをやっているのだろう。

    ゴッホ今泉
    (イラストレーター、「デパートメントH」オーガナイザー)

  • 罪もなく殺された子どものなかに、絵を描くのが好きだったという子どもがいた。 ただパレスチナ人だという理由で、私と同じ趣味の子、同じ年の子たちが殺されていくのを見て、すごく胸が痛くなった。

    「遠くの国のことだ」と思って、見て見ぬふりをする人も多い。「ハマスも悪い。イスラエルとパレスチナの報復合戦は永遠に続く」と、政治批判をしたり、あきらめたりしたりする人も多い。でも、悪夢を止めるためには、政治や宗教や正義を超えて、憎しみの連鎖を断ち切らないといけない。これは、世界市民の義務だと思う。私は、日本人でもあるが、それ以前に、自分のことを世界市民だと考えている。日本にはこうした意識が欠けている人が多いと感じるときがある。

    2023 年の秋から、私には何ができるのだろうとずっと考えてきた。Free Gaza のパレードにも何回か参加した。でも、街の人々は私たちの叫びに無関心だった。欧米や南アジアでは、最近、パレードではなく料理を作ることで対話と連帯を訴えるマニフェストが流行しつつある。日本でも「戦争反対クッキング Cooking for Peace」とか、「戦争やめて料理をつくろう Make Food Not War」プロジェクトをスタートしてくれるシェフがいたら私は嬉しい。

    二村香琳アネット
    (14歳・京都国際フランス学園)

  • 映画を見始めて、ホッとした。家族を愛する人々がポートレイトされていたからだ。
    登場するのは、爆撃で亡くなった子供の家族たち。残された、家族たち。残された家族が、自宅でカメラの前に並ぶ。そして、語り始める。失った息子や娘たちの将来の夢や、兄弟たちとどんなことをして遊ぶのが好きだったのか。つまり、どんなに愛しているのかが語られる。
    家族の手で残された子供がいた頃の何気ない平和な映像と、爆撃周辺の映像を並列して淡々と描くことで、心の奥深いところにメッセージが伝わってきた。

    原マオリ
    (『KYOTO MEMOIR』映画監督)

  • 言葉が出てこない。この作品を見てもらいたいから、見てもらうための言葉を探したいのだが、最適な言葉を探してしまっていいのだろうか。貯金箱にお金を入れる瞬間に爆撃されて亡くなった子どもがいたと知る。最後に何を思ったのだろう。残された人たちのまなざしの奥に、強い動揺と強い怒りがある。許してはいけない。まずはそのことだけを強く思う。

    武田砂鉄
    (ライター)

  • 何十年も続く戦い、どれほどの命が奪われたのか?
    子どもにどんな罪があるの?
    何を彼らは犯したの?

    生まれた国も、生きている場所も宗教も選べない
    生きることも、息を吸うことも、許されないの?

    貧しい中、家族のために、明日のために生きていた
    大人の負の連鎖に、無差別殺人行為に、巻き込まれたのも「子ども」
    これはもう、戦争ではない、虐殺でなかったら、なんというの?

    残された側の心に何が芽生えるのか?
    残された側の内面は永遠に元には戻らない。

    日本にいる我々が見る戦争は画面の中である。
    今、アナタが出会った映画の中の子どもたち、
    生き延びてるの?
    今、アナタはどこにいるの?

    忘れない、忘れないで、記録された彼等のこと
    今も、生きていると信じたい。
    生き延びててほしい、忘れない、忘れさせない
    忘れたら、それは見殺しになる
    それが現代社会の危うさ、傍観者にならない、加担しない
    だからこそ、現実を見てほしい、ここに残された記憶を記録して
    忘れない、誰も。

    サヘル・ローズ
    (俳優、『花束』映画監督)

  • 政治、宗教、大人たちが戦争の理由としていることは分からないし、理解できない。この記録映画を通して分かるのは、なんの関係もない子どもたちが戦争という名の虐殺に巻き込まれ、大人たちの勝手で無惨に殺されたということだけ。一つ一つ並べられていく子どもたちの遺品とともに映し出されるのは、息をしていない、この遺品たちを使っていた主たちの血だらけの姿。遺された家族が語る生前の子どもたちの様子に、子どもたちが殺されなければならなかった理由など何処にもないと確実に言い切れる。世界中の人がこの現実を知るべきである。

    瑚海みどり
    (俳優・映画監督)

  • 静謐な画面がかえって、子どもを失った親や兄弟姉妹の悲しみを強く訴えかけてきました。
    ガザでは、2021年5月の攻撃で亡くなった子どもたちは67人だったそうですが、昨年10月から1年間の子どもの死者は15,000人を超えました。
    「大人になれたら」と、あるパレスチナの少女が言うのを聞いたことがあります。
    子どもたちは生まれる場所を選べないのです。

    田中好子
    (パレスチナ子どものキャンペーン)

  • パレスチナ人が自分で自分の物語を語る「私たちは数字ではない」というプロジェクトがある。世界に向かって広く伝えるために、英語を勉強して語りの道具とし、書くことを職業とする国外の有志や、パレスチナの英語教育者や識者の指導のもと、多くの若者が参加している。この映画は、それをイスラエル軍に殺害された子どもたちの家族に広げたものとも言える。数千人、数万人などの数字で伝えられる犠牲者一人一人の暮らしを想像する訓練になるだろう。

    「私たちは数字ではない」プロジェクトの冒頭には、アルンダティ・ロイの次の言葉が掲げられている。「『声なき者』などというものは実際には存在しない。あるのは、意図的に沈黙させられたか、できるなら聞かせたくない者たちの声だけだ」。この映画を見た後には、あなたにもこの声が聞こえるようになるかもしれない。

    藤澤みどり
    (翻訳家)

  • 2021年のイスラエルによるガザ攻撃を描いたこのドキュメンタリー映画は、観る者の心を強く揺さぶります。失われた命に名前と顔を与え、愛する人々の記憶を通じて彼らを甦らせています。
    そこに描かれるのは、単なる戦争の記録ではなく、命の重みと尊さです。
    観ている間、物語の登場人物が今も無事でいるのか、また新たな犠牲者となってしまったのかを考えずにはいられません。彼らが直面している厳しい状況を思うと、胸が締め付けられます。
    この映画の価値は、悲劇を描くだけではなく、ガザの人々の記憶と声を伝えている点にあります。今、ガザで起こっているジェノサイドで消えゆくパレスチナ人の物語を記録し、彼らの存在を忘れないよう訴えかけるこの作品は、非常に意義深いものです。

    重信メイ
    (ジャーナリスト)

  • 連日のミサイル攻撃、瓦礫と化したビル、過酷な生活環境にも関わらず無邪気に走り回るパレスチナの子どもたち。命を落とした子どもたちも遊んだり、本を読んだり、夢を持っていたはずなのに、一瞬の爆撃で未来を失ってしまったのです。大人の都合で始まった戦争で未来を失う子どもたちがこれ以上生まれない世の中にしなければいけません。ガザで未だにたくさんの子どもたちの未来が奪われていることに心が痛みます。

    小林誠司
    (ミライプラス代表)

  • 2021年5月、私はパレスチナにいた。日々入ってくるガザのニュースを見ながら、惨状を、犠牲者を、思っていたつもりだったけれども、この映画を見て、全然わかっていなかったと知った。映画に登場する方が、殺された愛する人を語る言葉には、憎しみの言葉はひとつもなかった。だからこそ余計、優しかった、頼りにしていた、将来はジャーナリストになりたかったという、愛する亡き家族を思う言葉たちが心に残った。

    福神 遥
    (特定非営利活動法人国境なき子どもたち/パレスチナ現地代表)