Director

アニエス・トゥレブレ(アニエスベー)

Agnès Troublé

アニエスベーは、1950年代にヴェルサイユで伝統的な教育を受けて育ち、10代のころから情熱を傾けていたアートに関わっていくために、キュレーターになることを夢見る。その後ELLEのエディター、フリーのデザイナーを経て自身のブランドagnès b.を立ち上げ、パリのジュール通りに最初のブティックをオープンした。流行にとらわれることなく、着心地の良さやカッティングにこだわったエスプリ溢れる洋服は、世界中の人に長く愛されている。1984年に、ギャラリー デュ ジュールを併設。次第にアートやアーティストに関わるようになり、自分自身の製作会社ラブ・ストリームスを設立し、自身がずっとファンであった映画にも関わるようになる。

また、各号ごと、ひとりのアーティストを取り上げる無料のアート季刊誌「ポワンディロニー」を出版している。常にファッション以外での芸術的な表現の手段を探し求め、数日で書き上げた脚本、『わたしの名前は...』をついに2012~2013年に撮影。この作品は、第70回ベネチア国際映画祭のオリゾンティ部門で上映されたほか、ニューヨークやアブダビなどの有名な映画祭で上映され、アブダビでは「チャイルド・プロテクション審査員特別賞」を受賞した。さらに、フランス・アレスのイチネランス映画祭、グラスゴー映画祭にも参加。第20回サラエボ映画祭にはコンペティション部門で上映されたほか、ゲストとして招聘された。また、映画祭の設立時からの援助と現地での映画産業の発展への貢献が認められ、「サラエボの心の名誉賞」を授与された。最近では、映画の支援、振興、保護に対してアンリ・ラングロワ賞が授与された。

Cast

セリーヌ:ルー=レリア・デュメールリアック

Lou-Lélia Demerliac

『わたしの名前は...』のオーディション初期に監督の目にとまる。“セリーヌ...”が、ルー=レリア・ドゥメルリアックの初めての役名である。

母:シルヴィー・テスチュー

Sylvie Testud

1971年、フランス・リヨン生まれ。フロラン演劇学校と国立高等演劇学校で学んだあと、1991年にギャスパー・ノエ監督の『カルネ』で映画デビュー。主な出演作品に『ビヨンド・サイレンス』(97/カロリーヌ・リンク監督)、『エディット・ピアフ〜愛の讃歌〜』(07/オリヴィエ・ダアン監督)、『サガン−悲しみよこんにちは−』(08/ディアーヌ・キュリス監督)『ルルドの泉で』(10/ジェシカ・ハウスナー監督)などがある。


父:ジャック・ボナフェ

Jacques Bonnaffé

1958年、フランス・ドゥエ生まれ。リールの演劇学校で学び、1980年にスクリーンデビュー。’84年にゴダール監督の「カルメンという名の女」で注目される。ゴダールの他にも、ジャック・ドワイヨン、フィリップ・ガレルなど個性的な監督の作品に多数出演。また、詩にも力を注ぎ、アルチュール・ランボーやジュール・ムスロンなど、さらに現代の詩人ではジャン=ピエール・ヴェレゲンの作品を朗読している。

トラック運転手:ダグラス・ゴードン

Douglas Gordon

1966年、グラスゴー生まれ。映像を中心に写真、絵画、文章、インスタレーション、パフォーマンスなど様々なメディアを使い人々の固定観念に揺さぶりをかける。96年、ビデオアート作家としては初めてターナー賞を受賞。現代美術の重要な芸術家である。06年には『ジダン 神が愛した男』をフィリップ・パレーノと共同監督し、カンヌ国際映画祭のコンペティション外で上映された。

放浪の哲学者:アントニオ・ネグリ

Antonio Negri

1933年イタリア生まれの政治哲学者。パドヴァ大学教授に就任しスピノザ、マルクス、フーコーの研究をし労働者自立運動を提唱。70年代にテロに関わったとされ、逮捕・起訴される。収監後03年に釈放され、今はイタリアとフランスを往来し研究を続ける。08年に訪日を予定するも、収監歴が障害となり実現しなかったが、13年に初来日。主な著書や共著に「構成的権力」「帝国」「マルチチュード」などがある。


Staff

ゲストカメラマン:ジョナス・メカス

Jonas Mekas

1922年、リトアニア生まれ。アメリカのアンダーグラウンド映画界を代表する監督。作品の詩的な美しさや独特のスタイル、NY アートシーンでの広い交友関係などで知られ、今もなお人々に影響を与え続ける唯一無二の存在である。主な監督作品に『リトアニアへの旅の追憶』(72年)『ライフ・オブ・ウォーホル』(90年)などがある。

音楽:ソニック・ユース

Sonic Youth

1981年結成。メジャー進出後に発表した『Goo』(90年)、『Dirty』(92年)といったアルバムは大成功を収め、NIRVANAやDINOSAUR JRと並び米オルタナティブ・ロック界の最重要バンドへと上り詰める。また、各メンバーは音楽以外のフィールドでもファッションやアート等、様々な分野で活躍している。

オリジナル音楽:ジャン=ブノワ・ダンケル(エール)

Jean-Benoît Dunckel (Air)

1995年に結成されたフランスのエレクトロポップ・デュオ、エールのメンバー。エールとしての活動の他にも「Tomorrow's World」「Starwalker」といったユニットや「Darkel」名義でのソロ・プロジェクト等、幅広い活動を続ける。

ドローイング:ジュリアン・ランゲンドルフ

Julien Langendorff

1982年生まれ、デッサン、コラージュ、神秘的なインスタレーションを中心に作品を展開しているアーティストでミュージシャン。本作ではドローイングと音楽を担当した。