映画『三月のライオン』MARCH COMES IN LIKE A LION
ベルギー王室主催ルイス・ブニュエルの『黄金時代』賞受賞 ベルリン国際映画祭ヤングフォーラム部門正式出品 東京国際映画祭インターナショナル・コンペティション正式出品 ロッテルダム国際映画祭 正式出品ベルギー王室主催ルイス・ブニュエルの『黄金時代』賞受賞 ベルリン国際映画祭ヤングフォーラム部門正式出品 東京国際映画祭インターナショナル・コンペティション正式出品 ロッテルダム国際映画祭 正式出品
世界の映画祭を騒がせ、若者を中心にリピーターが続出 、 熱狂的に支持された伝説の名作がデジタルリマスターで蘇る!映画『さくら』(原作:西加奈子「さくら」(小学館刊)/出演:北村匠海、小松菜奈、吉沢亮)の矢崎仁司監督の原点!世界の映画祭を騒がせ、92年の公開時にはリピーターが続出した伝説の名作がデジタルリマスター版で蘇る!
2021年2月26日(金)より公開2021年2月26日(金)より公開
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監督・脚本:矢崎仁司
脚本: 宮崎裕史、小野幸生/撮影監督:石井勲/音響:鈴木昭彦/美術:溝部秀二/記録:青木綾子
助監督:石井晋一/編集:高野隆一、小笠原義太郎/製作:西村隆
出演:趙方豪、由良宜子、奥村公延、芹明香、内藤剛志、伊藤清美
石井聰互(友情出演)、長崎俊一(友情出演)、山本政志(友情出演)、他
配給:アップリンク

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映画『三月のライオン』MARCH COMES IN LIKE A LION

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映画評論家トニー・レインズに「ジャン・コクトーの『恐るべき子供たち』以来の、近親相姦を描いた秀作」と言わしめた本作品は、1991年のベルリン国際映画祭出品を皮切りに、メルボルン、バンクーバー、ロンドン、ロッテルダム、ヨーテボリ、ヘルシンキなど世界各国の映画祭で話題を呼び、92年にはベルギーのPRIX DE L'AGE D'ORでルイス・ブニュエル「黄金時代」賞を受賞。日本公開時には10代の若者たちの熱狂的な支持を受け何度も見返す観客が続出した。

「映画は理解するものではなく、感じるものだと思っている」と監督の矢崎仁司が語るように、色、光、音、極端に少ないセリフは、言葉では言い表せないイメージを繊細に映し出し、感情を揺さぶる。記憶の中に漂う原風景とでも言うべきその空気は、何度でも思い起こす程に、鮮明になって行く。

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監督:矢崎仁司

矢崎仁司
山梨県出身。日本大学芸術学部映画学科在学中に、『風たちの午後』(80)で監督デビュー。2作目の『三月のライオン』(92)はベルリン国際映画祭ほか世界各国の映画祭で上映され、ベルギー王室主催ルイス・ブニュエルの「黄金時代」賞を受賞するなど、国際的に高い評価を得た。95年、文化庁芸術家海外研修員として渡英し、ロンドンを舞台にした『花を摘む少女 虫を殺す少女』を監督。そのほか監督作品に、『ストロベリーショートケイクス』(06)、『スイートリトルライズ』(10)、『不倫純愛』(11)、『1+1=1 1』(12)、『太陽の坐る場所』(14)、『××× KISS KISS KISS』(15)、『無伴奏』(16)『スティルライフオブメモリーズ』(18)『さくら』(20)などがある。『風たちの午後』が40年の時を経て、リマスター版が初DVD化!現在発売中。

「映画館の暗闇を愛で満たすもの」
矢崎仁司

すべての始まりは、パブリック・イメージ・リミテッド、PILのライブでした。

あの頃、日本映画に不満だった僕は、何かを壊したい衝動でいっぱいでした。あの夏、「This is not a love song」と歌うジョン・ライドンの声が心に刺さったまま、僕は『三月のライオン』のシナリオを書き始めました。恥ずかしいけれど第一稿のタイトルは『This is not a love story』でした。今まで観てきたラブ・ストーリーを壊そうと思いました。でもシナリオは一向に書けませんでした。

二年後の夏、僕は『風たちの午後』を持ってエジンバラ映画祭に行きました。そこでデレク・ジャーマンに出会いました。彼の映画は衝撃でした。僕の映画は、ある愛のカタチをスクリーンに閉じ込めて、灯りを消してみんなに観せるというもので、それが映画だと思っていました。デレクの映画は、彼の映画が上映される映画館の暗闇が愛でムンムンしていました。映写室からスクリーンまでの、バラバラな感情の履歴たちが、愛でむせかえる暗闇で僕は、こういう映画を作りたいと強く思いました。映画は愛のカタチを描くものじゃなくて、映画館の暗闇を愛で満たすものだ、とデレクに教えてもらった気がしました。

この二つの夏の体験がなければ『三月のライオン』は生まれなかったと思います。7年後、尊敬するルイス・ブニュエル監督の名前がついた賞を頂きました。その時一番嬉しかったことは、その賞の前年の受賞者がデレク・ジャーマンだったことでした。

あれから30年という歳月が流れ、愛や絆や言葉が感染拡散する世界の暗闇に、『三月のライオン』をもう一度映そうと、デジタルリマスター版を製作してくださったスタッフのみなさんに感謝します。僕も初心に帰り、「NOT」と問いつづけて新しい映画の可能性に挑み続けたいと思います。映画は、理解しなくていい、感じて欲しいという思いは今も変わりません。

COMMENT

敬称略・順不同

時代は変わったし、年も取った。けれど、初めてこの映画を観た時のように、全てのシーンから目が離せなかった。ずっと胸が苦しかった。

西 加奈子

小説家

この映画に、私ごときに何が言えよう。美しい。無粋なショットが一つもない。そして恐ろしい映画。三月の、儚いはずだったひとときを、永遠にプリントしてしまった。これが映画館をすり抜けて個人宅に忍び込んだらコトだ。

この唯一無二の美しい愛を浴びるには映画館という箱が絶対必要だ。そしてその箱は、何人たりとも脅かさない、安全で幸福で愛に満ちた空間であるべきだということも、2021年の今、言っておきたい。

大九明子

映画監督

映画館で観たら、スクリーン窓全開!で、なまあたたかい砂まじりの過去が、90年代の街の風がそのまま吹き込んできそうで、リマスターがうれしいです。兄と妹という記号が、それを脱いでいって、どうにかひととひとで出逢おうとするさまが抉られるように痛く、なのにどうしてもきれいに見えて泣いてしまいました。

金子由里奈

映画監督

何度見ても感じることやドキドキする瞬間が溢れ出す118分。鮮やかになることでわかることがあったとき、それを失うのではと怖かった。しかし新しいものが見えるたび、この作品への自分の探究心が増していた。観終えた帰り道、瓶コーラを買って帰った。

小谷実由

モデル

当時の街の細部やキャストの表情、レンズの滲み、この作品の重要な要素である光達がより切なくスクリーンに映し出され、当時フィルム上映で観た時の事を思い出した。今でもこの作品は僕をあの頃に連れていってくれる。

島田 大介

映像作家・写真家

その頃わたしは東京に出てきたばかりで、テレビと布団とワープロしかない部屋に住んでいた。わたしは駆け出しの物書きだった。机もなかったので食事をするのも小説を書くのも全部床の上だ。レンタルビデオ店でなんとなくそれを借りたのは、パッケージの女の子の顔が好きだったから。それだけ。そうしてわたしは『三月のライオン』に出会った。

驚いた。その映画の中には、わたしが書こうとしているもの、描きたくて描けないもの、いつか書き遺したいもののすべてがあった。この映画がすでにこの世に存在するのなら、わたしはもう何も書く必要はないのではないかと思った。  それから何十年も経つけれど、わたしは今もまだぶざまに書き続けている。『三月のライオン』にせめて少しでも追いつきたい、そう思い続けているけれど、まだまだ時間が足りない。

狗飼恭子

作家・脚本家

「三月のライオン」を観たのは20歳で、当然、強く揺さぶられた(その直後に“アイス”とお酒の場で会ったのは単なる自慢だ)。
自分の中で、特別だから何度も観る映画と特別だから一回しか観ないと決めた映画があるが、「三月のライオン」は後者だった。
一回きり、二度とない体験。
のはずだったが、今回機会をいただき、ついに観てしまった。
・・・25年ぶり、2度目の衝撃。
懐かしいとか、色あせないとか、そんな感傷はまったくない、新たな「特別な体験」。
そして、かつての衝撃は、時代や若さとは関係なかったという事実。
観て良かった・・。
またすぐに観たい。

佐々木誠

映像ディレクター/映画監督

TRAILER

監督・脚本:矢崎仁司
脚本: 宮崎裕史、小野幸生/撮影監督:石井勲/音響:鈴木昭彦/美術:溝部秀二/記録:青木綾子
助監督:石井晋一/編集:高野隆一、小笠原義太郎/製作:西村隆
出演:趙方豪、由良宜子、奥村公延、芹明香、内藤剛志、伊藤清美
石井聰互(友情出演)、長崎俊一(友情出演)、山本政志(友情出演)、他
配給:アップリンク

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