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順不同・敬称略

雨宮処凛作家・活動家

痛快!この一言に尽きる。J.T.リロイが作り上げた「最高」の物語だ。欺いて欺いて欺いた果てにあるものが、ここに焼き付けられている。

町山広美放送作家・コラムニスト

美しく生まれなかった女が、現実を舞台に「なりたい私」を上演した。華やかな舞台に招かれない自分を思い知っていたから。
実話を過大評価する人々が、小説が「嘘」だったと怒った。作者を消費したかったとばれてしまうから。
後者が無垢を気どるのなら、前者だけが真実を告解する必要はない。人は「真実」と名札のついた真実が欲しいだけだ。くれてやれ。

倉本美津留放送作家

事実は小説より奇なりな事実よりも奇なりな小説よりも奇なりな事実の映画

阪本順治映画監督

この人の方が私たちより自然なのかもしれないと思った。人は、幻想の中で生きていることを、そういう動物なのだということを、あらためて知った。虐待は彼女を狂わせたかもしれないが、その狂いのなかに、社会性を放棄すればするほど人は人らしくなると思った。しかし、どこまでが虚構なのか、いまだ、眩暈がしている。いつまでも忘れられない快感。

立田敦子映画ジャーナリスト

影武者とは知らず金髪の美少年をJ.T.リロイとしてインタビューした身としては正直、複雑なのだが、“J.T.リロイ”を創造するに至ったローラの内なるドラマには、その過去を帳消しにするほどの衝撃があり、胸を突かれた。自分を好きになれないすべての人にとって、これは「闇」ではなく、「希望」の物語だ。

中森明夫コラムニスト

事実は小説より奇なりであります!(by籠池理事長)。だが、真実は?
『FAKE』『全身小説家』『へルタースケルター』、村上春樹『1Q84』の美少女作家ふかえり…等がお好きな方に超オススメ!
ポスト・トゥルース時代のポップ・ドキュメンタリーの傑作、誕生!!

長島有里枝写真家

J.T.に会う前、配給会社の人は言った。うるさいおばさんがいますけど、気にしないでいいので。マネージャーだというその女性は、確かにいちいち口を出した。ニュースを聞いたとき、なんだか腑に落ちた。自分が書いたんだもの、そりゃあ口も出すよねと。

福田里香お菓子研究家

覚えてますか? あの事件。衝撃の告白映画。 “姿を消せたらどんなにいいか前だけを見て振り返らずに” 観賞後、この言葉が鮮やかに胸に迫る。 文学、アート、映画、セレブ好きは必見。

松江哲明ドキュメンタリー監督

覆面作家の告白かと思ったら、複数の自己と向き合うことになった、哀しくも可笑しいドキュメンタリーだった。まるで彼女の人生に拮抗するかのようなハイテンションな編集力。誰にも経験できない事件を、普遍的な物語に昇華してしまった構成が圧巻。

アヴちゃんミュージシャン/女王蜂

わたしはローラを笑えない。 リロイをけなせないし10年間信じたセレブたち、そしてなにより信じた読者たちを笑うことが出来ない。 スキャンダラスの向こう側はいつだって更地で、みんなそれにめげて謝ったり繕ったりするのだけれど、ローラは違った。 謝るどころか、、筆を動かして、責任をとっている! わたしはローラを、世界で一握りのほんものだと思う。

豊崎由美ライター、書評家

ローラ/J・T・リロイのどこがいけないのか、わたしにはさっぱりわからない。自分以外の誰かになりきることが罪なら、まともな作家は皆刑務所行きだ。

長谷川町蔵ライター

ガス・ヴァン・サントもコートニー・ラブも無かったことにしたいはず。ゼロ年代前半にJ.T.リロイを絶賛したことを。あれから10年、ようやく世間が忘れてきた頃に黒幕が事件の一部始終を語りつくした本作、てっきりコミカルな狂騒劇かと思って観たら胸を締めつけられた。驚いた!<彼>は確かに実在したのだ。

とんだ林蘭アーティスト

コンプレックスという形ないものが、鮮やかに視覚化されてしまった、ドラマティックな事実。複雑で、クリアなメタファー。彼(彼女)のもつ言葉がすきです。

鳥飼茜漫画家『先生の白い噓』『地獄のガールフレンド』

ひとが真っ直ぐに物を語るとき、そこに事実はなくても真実がある。真実を語るひとは、それがどんな人間であっても、孤独である。美しくも危うげなJ.T.リロイというセレブリティの虚像は、彼女にとって孤独を紛らす束の間の麻薬のようなものだったのかもしれない。私たちはその魔法が切れてしまうまでの焦燥感と、切れてしまった後の言いようのない倦怠感を、これ以上ないほどリアルに感じるほかない。

犬山紙子イラストエッセイスト

犬山紙子さんイラスト