コメント 順不同・敬称略 矢崎仁司映画監督 最近はいいと言われている映画を観ても動かない心の眼を、こじ開けられた感じ。『ふたりの人魚』から大好きなロウ・イエ、お帰りなさい。やっぱり映画は映像だ。年の始めに、この映画を観ると、観ないでは、この1年、世界の見え方が変わると思う。 深田晃司映画監督 なんと愛しい映画だろう。見えるものだけを描いて見えないものを求める映画の魔をここまで痛切に実感させてくれるとは。目をこらして見るのではなく心をこらして見る世界がここにある。必見であり、必聴! 瀬々敬久映画監督 『ふたりの人魚』以来のファンでずっと見続けてきたロウ・イエ作品。 だけどその処女作の衝撃を超えることはなく、最近は少し乗れなかったりもした。 でも、遂に来た。傑作だとか、どうのとか、もうどうでもいい。 とにかくヤラレタ。ヤラレっぱなし。あぁ、こんな映画が一生のうちで作れたなら……。 曽我部恵一ミュージシャン ロウ・イエ監督の大傑作!美しさと愛を見つけるための盲目の物語。心から血が出るほど、痛い。 ケンゴマツモトTHE NOVEMBERS ギタリスト 見えない故触り嗅ぎ聞き味わおうと渇望し触り嗅ぎ走り転びまた走る。 欠落感や喪失感こそが欲望の原動力であり美しさへの疾走を促す。 見終わったあと、何故か大好きなカラックスの映画を思い出した。 最後の洗髪のシーンは本当に美しいと思った。 津原泰水小説家 ありえない話だが「この映画監督は眼が視えない」のではないかと思った。 盲目ゆえの疾走感、盲目ゆえの美の呪縛——そんな矛盾が、銀幕に鮮明すぎて。 山内ケンジ劇作家・映画監督 これこそまさに純粋恋愛世界なり。あの環境あの状況だからこそのこれ。恋愛めんどくさ、セックスめんどくさの私たちの現状をぐさりと突き刺し抉る。徹頭徹尾好きと欲望しか描かれていない。それと雨の音。私たちが生活の中で押し殺し、理由を付けてごまかしている好きと欲望。それ以外にない、それ以外に何が必要か。 河合龍之介俳優 光と闇が入れ子のように漂う中、映画が映画であるための意味をこれでもかと突きつけられ続けた。切り刻まれ続けた。その傷の1つ1つを本当に信じられる作品。 岩野忠昭白水社刊『ブラインド・マッサージ』・営業・宣伝 盲人だって人を好きになり、人とぶつかり、時に泣き、時に笑う。食べて寝て働いて、そこには健常者との差は存在しない。当たり前だけど見落としがちなところを見事に描いたドキュメンタリーのような作品。 高橋美千代内山書店・営業部 見えないものの存在を確かめ合うこと、視覚以外から見えるものの複雑さを感じる作品です。視覚障がい者の視界を再現するかのような幻想的な映像が印象的です。 日隈脩一郎東京大学新聞社・編集部 若き盲者が娼婦に「そっちは別料金」と言い渡されるシーンに、切なくなった。『ブラインド・マッサージ』はある種のファンタジーである。盲者の視点に見える人が立つことなど、決してできないのだから。しかし、この映画はファンタジーを超えた真理を見通している。 見えない者が真理を見定められないと、誰が決めたのだろう。
コメント
順不同・敬称略
矢崎仁司映画監督
最近はいいと言われている映画を観ても動かない心の眼を、こじ開けられた感じ。『ふたりの人魚』から大好きなロウ・イエ、お帰りなさい。やっぱり映画は映像だ。年の始めに、この映画を観ると、観ないでは、この1年、世界の見え方が変わると思う。
深田晃司映画監督
なんと愛しい映画だろう。見えるものだけを描いて見えないものを求める映画の魔をここまで痛切に実感させてくれるとは。目をこらして見るのではなく心をこらして見る世界がここにある。必見であり、必聴!
瀬々敬久映画監督
『ふたりの人魚』以来のファンでずっと見続けてきたロウ・イエ作品。
だけどその処女作の衝撃を超えることはなく、最近は少し乗れなかったりもした。
でも、遂に来た。傑作だとか、どうのとか、もうどうでもいい。
とにかくヤラレタ。ヤラレっぱなし。あぁ、こんな映画が一生のうちで作れたなら……。
曽我部恵一ミュージシャン
ロウ・イエ監督の大傑作!美しさと愛を見つけるための盲目の物語。心から血が出るほど、痛い。
ケンゴマツモトTHE NOVEMBERS ギタリスト
見えない故触り嗅ぎ聞き味わおうと渇望し触り嗅ぎ走り転びまた走る。
欠落感や喪失感こそが欲望の原動力であり美しさへの疾走を促す。
見終わったあと、何故か大好きなカラックスの映画を思い出した。
最後の洗髪のシーンは本当に美しいと思った。
津原泰水小説家
ありえない話だが「この映画監督は眼が視えない」のではないかと思った。 盲目ゆえの疾走感、盲目ゆえの美の呪縛——そんな矛盾が、銀幕に鮮明すぎて。
山内ケンジ劇作家・映画監督
これこそまさに純粋恋愛世界なり。あの環境あの状況だからこそのこれ。恋愛めんどくさ、セックスめんどくさの私たちの現状をぐさりと突き刺し抉る。徹頭徹尾好きと欲望しか描かれていない。それと雨の音。私たちが生活の中で押し殺し、理由を付けてごまかしている好きと欲望。それ以外にない、それ以外に何が必要か。
河合龍之介俳優
光と闇が入れ子のように漂う中、映画が映画であるための意味をこれでもかと突きつけられ続けた。切り刻まれ続けた。その傷の1つ1つを本当に信じられる作品。
岩野忠昭白水社刊『ブラインド・マッサージ』・営業・宣伝
盲人だって人を好きになり、人とぶつかり、時に泣き、時に笑う。食べて寝て働いて、そこには健常者との差は存在しない。当たり前だけど見落としがちなところを見事に描いたドキュメンタリーのような作品。
高橋美千代内山書店・営業部
見えないものの存在を確かめ合うこと、視覚以外から見えるものの複雑さを感じる作品です。視覚障がい者の視界を再現するかのような幻想的な映像が印象的です。
日隈脩一郎東京大学新聞社・編集部
若き盲者が娼婦に「そっちは別料金」と言い渡されるシーンに、切なくなった。『ブラインド・マッサージ』はある種のファンタジーである。盲者の視点に見える人が立つことなど、決してできないのだから。しかし、この映画はファンタジーを超えた真理を見通している。
見えない者が真理を見定められないと、誰が決めたのだろう。