映画『マイク・ミルズのうつの話』

イントロダクション

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『サムサッカー』『人生はビギナーズ』のマイク・ミルズ監督が
「うつ」をテーマに日本で密着取材を敢行。
“心の風邪”をこじらせた普通の人々の、
壊れそうだけど愛おしい日々の暮らしを描いたドキュメンタリー。

今や日本人の15人に1人がかかっているともいわれる「うつ病」。しかし、2000年までは「うつ」という言葉は精神 科周辺以外ではめったに聞かれなかった。なぜ、この短期間で「うつ」は爆発的に広まったのか? 90年代のユース・カルチャーを代表する映像作家マイク・ミルズは、その理由のひとつに製薬会社によって行われた「心の風邪をひいていませんか?」という 広告キャンペーンがあると考え、その実態に迫るドキュメンタリーを作ろうと思い立つ。舞台は近年、急速にうつが常識化した日本。

撮影対象となる条件は(1)抗うつ剤を飲んでいること(2)日常生活をありのままに撮らせてくれること。本作でマイク・ミルズは、うつ患者たちの壮絶な日常を、独特の優しく明るい目線で捉えることで、この現代を象徴する病気に対する処方箋を調合するとともに、今の日本社会の問題点も鮮やかに描き出す。

静かに蔓延する「うつ」、心の風邪に気づいたのはいつからですか?

2006年、マイク・ミルズ監督の初の長編ドュメンタリー作品「Does Your Soul Have A Cold?」(原題:心の風邪をひいていますか?)の制作企画書が、日本のうつ関係のチャットルームに送られ出演者の募集が行われた。

1999年にうつのコンセプト「心の風邪」が日本に輸入されて以来、自分の症状がうつ病によるものではないかと、診察を受ける人の数は増加していた。うつとネットの親和性は当時からとても高く、マイクのこの企画には、すぐに多くの反響が寄せられた。

応募してきた人たちの多くは、うつ病患者が日本の社会から閉め出されているという疎外感と、自分がダメな人間だという社会に対しての罪悪感を持っていた。 自分たちの置かれている現状を知ってもらいたいという、強い意志が彼らを突き動かしていた。重いうつ病の場合、体を自由に動かせない日もあるというが、応 募者の中には、何年も自宅から出たことのない人が、渋谷までマイク・ミルズに会いに来たという。多くのうつ病患者と話し合うことによって、日本におけるう つの現状を知ることができた、マイク・ミルズは応募者の中から5人を選び撮影を始める。

世界と日本のうつ事情

世界中でうつ病にかかっている人は3億5千万人(日本人口の2倍以上!)、年間100万人、1日3000人が自殺で亡くなっており、うつ病患者が半数を占めているといわれる。(WHO2012より)

日本では、約15人に1人が生涯に1度はうつ病を経験するという。1996年には国内で43万3千人だったうつ病患者数は、2011年には2倍近くの95万8千人に増加。精神疾患により医療機関にかかっている患者数は、近年大幅に増加しており、平成23年は320万人になる。
(厚生労働省より)

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登場人物

キャスト

+ミカ(20代・実家暮らし)

「毎日嫌いな酢を飲んで、精神を鍛えているんです」

ミカは20代で、医薬品の配達をやっている。母親と同居し、抗鬱剤と酢を飲むことを日課としている。それが彼女の自己投与治療法である。
●2013年現在:うつを克服しOLとして働いてます。

+タケトシ(うつ歴15年)

「精神科にかかったら人生終わりだと思ってました」

タケトシは37歳で、両親の援助により同居している。絵を描き細かく日記をつけている。今まで仕事を持った経験はない。病院での鬱の集会には、まじめに参加している。
●2013年現:減薬をしながらフルタイム勤務しています。

+ケン(プログラマー)

「気分をアゲるためにハイヒールを履くんです」

ケンはコンピュータプログラマである。週末はハイヒールとホットパンツで外出する。バイセクシャルであることは家族に打ち明けていない。自分の手足を縛ってもらうため、縄師のもとを定期的に訪れている。

+カヨコ(Tシャツ工場勤務)

「眠っているときが一番幸せ」

カヨコは自殺願望がある。体重を維持するように努めており、ほとんどの時間、泣いているか、ペットの世話に費やしている。

+ダイスケ(エンジニア)

「サボテンって可愛い花が咲くんですよ」

ダイスケは、毎日4種類の抗鬱剤を服用している。さらに飲酒と喫煙の量も少なくない。彼の趣味に、写真撮影やジャズ鑑賞、サボテン飼育などがある。

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