映画『ワカラナイ』公式サイト

第62回ロカルノ国際映画祭コンペティション部門正式出品作品。世界が注目する小林政広監督が渾身の思いを込めて描く、21世紀の日本版『大人は判ってくれない』。

解説Introduction

第62回ロカルノ国際映画祭コンペティション部門正式出品作品。 世界が注目する小林政広監督が渾身の思いを込めて描く、21世紀の日本版『大人は判ってくれない』。

映画「ワカラナイ」写真

これまで、『バッシング』で女性から見た日本を、『愛の予感』で親から見た日本を描き、世界の映画祭で高い評価を受けてきた小林監督。本作『ワカラナイ』では、少年から見た現代(いま)の日本を描く。

母子家庭の少年「亮」は、母親を病気で亡くし、医療費も葬儀代も払えなくなる。そして自分自身を食べさせる事さえ困難な貧困の中を、生きていくしかない現実と向き合う。

ただ普通に生きていくことすら、難しい。カメラはそんな少年の行動の全てを観察するように、そして時には見守るように、ドキュメンタリー映画のような距離を保ちながらとらえていく。

これまでの小林作品でも定評の高かった、張り詰めた空気、厳かに流れる時間といった筆致はそのままに、主人公の少年に訪れる耐え難い慟哭を生々しくフィルムに収めている。


どのように世界と関わっていくのか。現代社会というフィルターを通して見た、一人の少年の普遍的な物語。

主人公・亮は、日々の食事すら満足に摂れない生活の中、 母親の死をきっかけに
母親の胎内のようなボートから出て社会と向き合い、父親に会いにいく。
格差、貧困・・社会に対して頑なに、閉じ篭らざるを得ない少年が、
葛藤、絶望を経てたどり着く先は一体どこなのだろうか。

どのように世界と関わっていくのか。現代社会というフィルターを通して見た、一人の少年の普遍的な物語。

閉塞感と孤独感にさいなまれる少年「亮」を演じるのは、
本作が初主演となる17歳の新人俳優、小林優斗。
鋭い眼光と痩せた頬で、一度見たら忘れられない強いオーラを放っている。
生へのとめどない渇望と、死を受け入れる達観の双方を抱えるイノセントな表情は必見だ。
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