小学校の頃から声楽を習い、国立音大付属高校を中退し16歳にしてプロの歌手として活動を始めた。クラシック、シャンソン、タンゴ、ラテン、ジャズを歌い、銀巴里やテレビに出演するようになり1957年「メケメケ」が大ヒット。ファッション革命と美貌で衝撃を与える。日本におけるシンガー・ソング・ライターの元祖として「ヨイトマケの唄」ほか多数の歌を作ってきた。1984年、フランス、87年、再度フランス、スペイン、ドイツに招待されコンサート・ツアーを行う。ル・モンド、リベラシオンをはじめ多数の新聞、雑誌に紹介、絶賛される。
俳優としては、寺山修司の「演劇実験室天井桟敷」の旗揚公演『青森県のせむし男』、『毛皮のマリー』への参加・主演を機に、三島由紀夫に熱望され『黒蜥蜴』(江戸川乱歩原作)を上演、空前の大絶賛を受けた。映画化もされ、ニューヨーク・タイムズ等々にも大々的に取り上げられ、ニューヨークやパリをはじめ世界的ヒットとなった。そのほかジャン・コクトー作『双頭の鷲』、デュマ・フィス原作『椿姫』、アラバール作『大典礼』と当たり役を語り始めると限りがない。
近年の演劇活動では、1993、94年、東京芸術劇場で再上演を行い絶賛された『黒蜥蜴』。1997年には会場を青山劇場に移し、同劇場の舞台機構を最大限に生かした演出を行い、観客を圧倒した。2003年からは明智小五郎役に髙嶋政宏氏、愛人・雨宮役に木村彰吾氏を得て、05年、08年と続けて上演。ル テアトル銀座ほか全国ツアーを大成功させ、江戸川乱歩×三島由紀夫の美学を、さらに深く掘り下げた絢爛豪華な舞台を全国の観客に披露し、熱狂的な支持を集めた。
1994、96年には寺山修司作『毛皮のマリー』をドイツ人演出家により再演。2001年には同作を自ら初演出。美少年・欣也役に及川光博氏を迎え、東京・パルコ劇場を皮切りに全国十四都市で公演を行い、スタンディング・オベイションの嵐となった。2009年、ル テアトル銀座で再び上演。あらたな欣也を迎えて、美輪演出でしか紡ぎえない、より練り上げられた頽廃美あふれるゴージャスにして魅惑的な世界を展開。全国の観客から賞賛を浴びた。
故・三島由紀夫が30年来熱望していた美輪演出・主演による『近代能楽集より 葵上・卒塔婆小町』の上演が1996年に実現。1998年の再演を経て2002年には相手役に宅麻伸氏を迎えて再度上演された。2010年、会場をル テアトル銀座へと移し、木村彰吾氏を相手役に再び上演。三島戯曲の持つ日本語の美しさを余すことなく表現し、好評を博した。さらに1997年10月の『双頭の鷲』の華麗な再演では、演じたエリザベート王妃に対して、読売演劇大賞優秀賞も受賞する。同公演は1999年、2007年に再演。2008年には、ル テアトル銀座にて上演された。デュマ・フィス原作『美輪明宏版 椿姫』も30年ぶりの上演となった1998年に続き、2004年、2012年、再演を果たした。また、2000年、2006年、2011年、エディット・ピアフの生涯を描いた『愛の讃歌』を上演、絶大な評価と賞賛を得ている。
近年の音楽活動では、1999年、CD『日本の心を歌う』をリリース。2002年春に、1965年と2000年、ふたつの録音の「ヨイトマケの唄」をはじめ103曲を収録する六枚組CDボックス『美輪明宏全集』を発表。さら2002年秋には『古賀メロディーを唄う』がリリースされた。また2006年「祖国と女達」「ボタ山の星」などを収録した、伝説的名アルバム『白呪』が再発売されたほか、『日本の詩を唄う』もリリースされた。これら音楽活動の集成として、毎年秋に行なわれてきた『美輪明宏音楽会〈愛〉』で、様々なジャンルを越えた選曲、趣向を凝らした美術や照明などにより観客を魅了し続けている。
作家としては、40年来のベストセラー『紫の履歴書』(水書坊)をはじめ、現代の病巣を鋭く喝破し、愛を持って生きる事を説いた『人生ノート』(パルコ出版)が50万部を超えるベストセラーとなっているほか、『天声美語』(講談社)では〝美人を超える麗人〟になるための美意識の磨き方を懇切丁寧に説いている。その後も『ああ正負の法則』(パルコ出版)、『愛の話 幸福の話』(集英社)、瀬戸内寂聴氏との対談集『ぴんぽんぱんふたり話』(集英社)、『地獄を極楽にする方法』(主婦と生活社)、『霊ナァンテコワクナイヨー』(パルコ出版)、『人生讃歌 愉しく自由に美しく、又のびやかに』(齋藤孝氏との共著 大和書房)、『人生学校 虎の巻』(家の光協会)、『戦争と平和 愛のメッセージ』(岩波書店)、『美輪明宏のおしゃれ大図鑑』(集英社)、『世なおしトークあれこれ』(パルコ出版)、『続・人生学校 虎の巻』(家の光協会)、『乙女の教室』(集英社)、『愛と美の法則』(パルコ出版)など続々と話題作を提供し続けている。人生の手引書とも言える愛の格言集『花言葉』(パルコ出版)、『悩みも苦しみもメッタ斬り!』(家の光協会)に続き、2012年『明るい明日を』(パルコ出版)を発売、注目を集めている。
講演会でも全国を飛び回り、各地大盛況の中、示唆に富む内容をウィットにあふれた話術で巧みに語り、大きな感銘を与えている。
宮崎駿監督によるアニメーション映画『もののけ姫』『ハウルの動く城』への声優としての参加や、映画『TAKESHIS'』(北野武監督)、NHK大河ドラマ『義経』への出演、2005年4月の放送開始以来高視聴率を誇り、レギュラー陣多忙のため2009年9月をもって惜しまれつつ終了となった『オーラの泉』(テレビ朝日系)などの番組や数々のCMなど映像分野でも幅広く活躍。NHKで放送された人間講座『人生・愛と美の法則』はDVDとして発売された。2009年に公開された劇場版ポケットモンスター『アルセウス 超克の時空へ』にはアルセウスの声で出演している。2010年より『ありえへん∞世界』(テレビ東京系/毎週火曜日午後7時54分~)にレギュラー出演中。
関東エリアでは、TBSラジオ『薔薇色の日曜日』(毎週日曜日午前7時すぎ~)で様々な視点のテーマから生きるヒントを楽しく語り、高聴取率を誇っている。北海道、青森、秋田、山形、山梨、長野、静岡、愛知、岐阜、三重、岡山、高知、長崎などでも放送中。
2007年11月より、公式携帯サイト『麗人だより』がスタート。入会者数は瞬く間に10万人を超え、大きな反響を呼んでいる。
2010年、第18回スポニチ文化芸術大賞グランプリをエッセイストとして受賞。
2011年、NHKで放送された、岡本太郎氏の生涯を描いた連続ドラマ『TAROの塔』では主題歌を担当、エディット・ピアフの「水に流して」の新たなレコーディングが行われた。
2011年、フランスのドキュメンタリー番組専門チャンネル「シネ シネマ」で、パスカル=アレックス・ヴァンサン監督の密着取材によるドキュメンタリー『Miwa:a la recherche du Lezard Noir(Miwa, A Japanese Icon)』が放送された。今作は2013年、DVD『美輪明宏ドキュメンタリー ~黒蜥蜴を探して~』として、パルコ出版より公演会場限定で発売。
『やじうまテレビ!』(テレビ朝日系)内では、毎週金曜日に5分間ほどの身の上相談のコーナー「美輪明宏の貴方への道案内」を担当している。
2012年12月からはNHKワンセグ2、Eテレで『美輪乃湯 その4』が放送されている。自身の体験談を交えた〝心にしみる話〟は視聴者の心をとらえている。
2012年大晦日にはNHK『紅白歌合戦』に初出場。時代を超えて愛される「ヨイトマケの唄」の名唱が日本中に感動の嵐を巻き起こした。
2013年8月、『美輪明宏ドキュメンタリー ~黒蜥蜴を探して~』が東京都写真美術館ホールと渋谷アップリンクを皮切りに全国で劇場公開される。 いまやその演技のみならず演出、美術、照明、衣裳、音楽など総合舞台人として、また現代日本のオピニオンリーダーとして、その活躍は常に耳目を集め、さらなる伝説の炎が噴出している。
(2013年『黒蜥蜴』公演パンフレットより)