100年前から京都の町を走る電車──嵐電
街の記憶を乗せて
今宵、妖怪電車が翔け抜ける……
鎌倉からやってきたノンフィクション作家の平岡衛星は、京福電気鉄道嵐山線(通称”嵐電”)の走る線路のそばに部屋を借り、嵐電にまつわる不思議な話を集める取材を開始する。そこには、衛星と彼の妻・斗麻子が、かつて嵐電の街で経験した出来事を呼び覚ます目的があった。修学旅行で青森からやって来た女子学生・北門南天は、嵐電の駅で、電車をスーパー8で撮影する地元の少年・子午線と出会い夢中になる。 太秦撮影所の近くのカフェで働く小倉嘉子は、撮影所にランチを届けた折、東京から来たそれほど有名ではない俳優・吉田譜雨に京都弁の指導をすることになり、台詞の読み合わせを行うが…。
監督は映画『ゲゲゲの女房』『ゾンからのメッセージ』などを手掛け、俳優としても活躍する鈴木卓爾。少し不思議な人間外世界を意識した世界観の中に、ささやかな人々のドラマを描き、フィクションの地平を拡張し続ける作風に定評がある。
主演には第一線で活躍を続ける井浦新(『ワンダフルライフ』 『止められるか、俺たちを』『こはく』)を、音楽には「赤色エレジー」(1974年)発表以降、懐かしく未来的な宇宙観を音楽として表現してきたあがた森魚を迎えた、心を揺さぶる恋愛映画。
(c)Migrant Birds/Omuro/Kyoto Univercity of Art and Design