• 人造の水

人造の水

1980年/カラー/13分

原題“Eaux D'Artifice”はアンガーの造語で、フランス語の花火“Feu D'artifice”をもじってつけられた。水の魔力がテーマで、ユネスコの世界遺産に認定されているイタリア・ティボリのエステ家別荘の噴水庭園で撮影された。ヴィヴァルディの『四季』より『冬』が流れるなか、庭を歩く女性やバロック様式の彫像、そして噴水が幻想的なタッチで描かれる。50年代パリやローマなどヨーロッパを転々としていたアンガーは、ジャン・コクトーやフェデリコ・フェリーニらと親交を深め、今作に登場する小柄な女性もフェリーニに紹介されたという。無声映画のような効果を生むため、16ミリのモノクロフィルムで日中に逆光の状態で撮影したあと、青いフィルターをつけてカラーフィルムに焼き青みがかった画にすることで、庭園を照らす月光とそれにより浮かび上がる白い色を表現している。