• 快楽殿の創造

快楽殿の創造

1953年/カラー/38分

イギリスのロマン派詩人サミュエル・テイラー・コールリッジの『クーブラ・カーン』(1798年)から着想を得て、アンガーがアレイスター・クロウリーの神秘思想や呪術的な儀式の映像化に挑んだ作品。チェコの作曲家レオシュ・ヤナーチェクによるグレゴリック・ミサをバックに、アーティスト/女優のマージョリー・キャメロンが魔女(スカーレット・ウーマン)、著作家のアナイス・ニンが月の女神アスターテを演じる。1958年のブリュッセル万国博覧会に出品されたバージョンは、3画面の投影装置・ポリビジョン方式にて上映された。SF『五十年後の世界』や自身の『プース・モーメント』からの引用を交え、退廃的な雰囲気とめくるめく色彩の連続は、当時ハリウッドで流行していたLSDによる幻覚がベースになっているとアンガーは告白しており、70年代のサイケデリック・カルチャーを先取りしていたと言えるだろう。