私がまだ十代で、調査報道ジャーナリストになろうと思っていた頃、I.F.ストーンに感化されたことがすべての始まりだ。調べていくうちに気づいたのは、大勢のジャーナリストや映画作家が私と同じように彼から影響を受けていて、その何人かは政府の欺瞞に対峙する独立系報道の最先端にいたのである。
私は素晴らしい物語だと感じた。ドキュメンタリー映画を作られなければならないことが明白だった。
『All Governments Lie(すべての政府は嘘をつく)』は、今のデジタル通な人々にとってまさにタイムリーなドキュメンタリー映画だ。彼らはますます独立系メディアから情報を求め、大手メディア企業の報道機関を信頼しなくなっている。この映画は、過去そして現在の、情熱に溢れたジャーナリズムの英雄たちを登場させ、つながりなどなさそうな出来事をひとつの大きな物語として紡ぎ、世界中の人々の間に共鳴を起こそうというものだ。
私はみんなを感化したい。I.F.ストーンが数十年にわたって政府の嘘に抗い奮闘し、怖じ気づくことなくストーンの足跡をたどる独立系ジャーナリストたちの新たな物語を通じて、みんなを鼓舞したい。彼らは主流メディア複合企業への解毒剤であり、それに代わるものだ。複合企業はますますその盲点と弱点をさらしており、一般大衆の信頼を失いつつある。
『All Governments Lie(すべての政府は嘘をつく)』はしかし、独立系ジャーナリズムや政治、民主主義だけを扱う作品ではない。おそらくもっと重要なのは、これが人間性と価値観についての映画だということだ。観客の皆さんには、I.F.ストーンが何をしようとしたのかを胸に映画館を後にしてもらいたい。
「ジャーナリズムの本質は、真実を書き、弱者を守り、正義のために闘い、憎しみや恐怖心に癒しの視点をもたらすこと。いつの日か、多様性ゆえに殺し合うのではなく、その多様性を享受できる世界が実現することを願って」
─I.F.ストーン
これは耳を傾けるべきメッセージだ。この映画は語られるべき物語を語る。
監督 フレッド・ピーボディ
Fred Peabody
バンクーバーを拠点とするジャーナリスト兼映画監督。
CBCの調査報道番組『the fifth estate(第5階級)』にて7年にわたり製作・監督を務めた。
2003年には、若い女性たちの摂食障害を取り上げたPBSのドキュメンタリー番組『Perfect Illusions(完璧な幻想)』でスーパーヴァイジング・プロデューサーを務めた。1998年には、五つ子姉妹の幼児期における搾取を扱った映画でエミー賞にノミネートされ、1989年には、飢餓と虐待から救われた野生馬を題材とする作品でエミー賞を受賞している