「自身や愛する者たちを養うことと、社会と一体化すること。その狭間に存在するジレンマ。中東の多元的社会で生きてきた者として、私はこのジレンマに陥ることの大変さも理解できる。
『パラダイス・ナウ』でも描かれているように、中東社会は、裏切り者に対して冷たいが、友は最後まで味方であり、社会に溶け込むことができる、住民と同じ運命を結ぶことは、この上ない見返りを与えてくれる。貧しい者は飢え死ぬことなく、孤児も見捨てられることはない。病の床に伏す老人たちを見放す者もいなければ、助けを必要とする女性、危険にさらされている女性には多くの救いの手が差し伸べられ、旅人には必ず身を寄せるところがある。よそ者であっても、道行く人々が声をかけてくれる。<私の経験から言えるのは、アラブの世界は苦しい中でもいつも暖かく迎え入れてくれる。
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重信 メイ
インタビューの模様は、“Olive Journal”にて公開予定
「監督と自爆犯の知人との会話やイスラエル陸軍による尋問調書を通して、何故自爆テロをしようとするのかという疑問を、気後れなく巧みに芸術的再現された映画である。
自爆テロへと導くのは、気を張り詰め、敵を討とうとする思いからではなく、悲惨にも、激烈な行動をとるようにと誤って導かれた、自己破壊的な衝動である」
NEW YORK TIMES
「中東をめぐるフィルムグラフィーの内でも並外れた作品である。
監督はかすかなアイロニーさえ保ち続けることにつとめ、正当化ではなく説明し、生死の境界がフィクションとドキュメントの境界さながらに儚い土地の扉を開く。物語は喉に腹に心臓に脳髄に食い込む。政治的に逆効果な犯罪的行為を前にしてさえ、心を動かされずにはいられない。
普通であることを不可能にされた二人の青年の逡巡と思考が見る者をとりこにするのだ」
Corriere della Sera
「『パラダイス・ナウ』は、中東紛争の悲劇のひとつである、自爆攻撃者に対する強力な問いかけだ。
ハニ・アブ・アサド監督は、この中東の悲惨なテロリズムの一形態にさまざまな視点が投げかけられるよう物語を構成した。この作品は、世界の人々を困惑させ、怒りを抱かせ、苦しめる行為を明晰に、かつ憐れみをもって描いている」
HOLLYWOOD REPORTER
「二人のパレスチナ人自爆攻撃者たちの最後の24時間を、片寄りもなく、プロパガンダとしてでもなく、映画にすることが可能だなどというのは信じがたいことだ」
TAGESSPIEGEL