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世界には音楽が溢れている。しかしあなたのまだ知らない音楽があるとしたら──
この映画は無音であり、言語は手話である。耳の聞こえない聾者(ろう者)たちが自ら「音楽」を奏でるアート・ドキュメンタリーだ。楽器や音声は介さない。彼らは、自身の手、指、顔の表情から全身に至るまで、その肉体を余すことなく駆使しながら視覚的に「音楽」空間を創り出していく。
出演者は国内外で活躍する舞踏家から、演技経験のない一般の聾者まで多彩な顔ぶれが集まる。彼らは各々に「音楽が視える」と語り、「魂から溢れ出る“気”のようなもの」から「音楽」を感じるという。複数の手話詩を交えながら「四季」を表現する初老の男性、木々のざわめきの中で風を歌う少女、波打つ浜辺で魂を叫ぶ女性、親密な愛情を共鳴させる夫婦……。
映画作家・牧原依里×舞踏家・雫境(DAKEI)二人の聾アーティストの化学反応
映画作家である牧原依里は、これまで視覚や振動に工夫が施された“聴覚障害者向け”の音楽に心を動かされることはなかった。むしろ、無音で鑑賞するミュージカル映画のダンス、オーケストラの指揮者や演奏者の表情、身体の動きなどから視覚的に「音楽」を感じ、魅せられてきた。そんな折、手話そのものに「音楽」を見出す手話詩と出会い、大きな衝撃を受ける。 一方、舞踏家の雫境(DAKEI)は、幼少期から補聴器をつけず、振動と視覚のみで育ってきた。「音楽なんてできっこない」と思い込んでいたが、舞踏との出会いでそれは覆される。踊りを続けるうち、いつしか「手話は言語の領域を超え、それ自体が音楽を奏でられるのではないか」という想いが芽生えていった。 そんな二人の共振から「聾者の音楽」をテーゼにした映画の探求が始まった。聾のアイデンティティーから、いま「音楽」と「生命」の新たな扉をひらく。


2016年5月14日(土) 渋谷アップリンクほか全国順次公開

共同監督・撮影・制作:牧原依里・雫境(DAKEI)
出演:米内山明宏 横尾友美 佐沢静枝 野崎誠 今井彰人 岡本彩 矢代卓樹 雫境 佐野和海 佐野美保 本間智恵美 小泉文子 山本のぞみ 池田華凜 池田大輔
配給:アップリンク 宣伝:聾の鳥プロダクション 協賛:モルデックスジャパン
2016年 / 日本 / 58分 / DCP / サイレント

第9回予告篇ZEN映画祭予告篇コンペション 佐々木徹雄賞 (2017)
第71回毎日映画コンクール ドキュメンタリー部門 ノミネート(2017)
第20回文化庁メディア芸術祭 アート部門 審査員推薦作品 (2017)
一橋大学大学院 言語社会研究科 第8回 四十雀賞(2020)
2016年5月14日(土) 渋谷アップリンクほか全国順次公開

共同監督・撮影・制作:牧原依里・雫境(DAKEI)
出演:米内山明宏 横尾友美 佐沢静枝 野崎誠
今井彰人 岡本彩 矢代卓樹 雫境 佐野和海
佐野美保 本間智恵美 小泉文子 山本のぞみ
池田華凜 池田大輔
配給:アップリンク 宣伝:聾の鳥プロダクション
協賛:モルデックスジャパン
2016年 / 日本 / 58分 / DCP / サイレント

第9回予告篇ZEN映画祭予告篇コンペション
佐々木徹雄賞 (2017)
第71回毎日映画コンクール ドキュメンタリー部門
ノミネート(2017)
第20回文化庁メディア芸術祭 アート部門
審査員推薦作品 (2017)
一橋大学大学院 言語社会研究科
第8回 四十雀賞(2020)
米内山明宏
アメリカデフシアターの契約俳優として 84カ所ツアー公演、1981年に黒柳徹子氏出会い、日本ろう者劇団を発足。 舞台上での音楽は寺山修司の天井桟敷からインスピレーションを受ける。1987年、手話狂言で文化庁芸術祭賞を受賞した他、日展、光風会など入選多数。
横尾友美
牧原監督の大学時代からの友人。学生の時代から横尾独特の手話表現を周囲に披露していた。この作品をきっかけに身体表現に目覚める。
今井彰人
日本ろう者劇団員。手話あらん代表。若手聾お笑い集団「男組」の一員でもある。演劇や身体表現など 芸術を追求しながら聾に関する多彩な活動を展開している。
池田大輔・池田華凜
聾の父娘。父は日本ろう者劇団員。2000年度文化庁芸術祭で演劇部門新人賞(カスパーの演技による)を受賞。 娘は3歳時に日本ろう者劇団「長屋」に初舞台。舞台やTVドラマ等にも出演参加、聾女優を目指している。
矢代卓樹
牧原監督の友人の友人。ラップを好み、学生の時代からラップを披露していた。
野崎誠・佐沢静枝
聾の夫婦。夫はNPO法人しゅわえもん・劇団しゅわえもん代表。2013年に若手聾お笑い集団「男組」の一員になる。 妻はNPO法人しゅわえもんで、ろう児への絵本読み聞かせ活動を行う他、手話詩や演劇など聾に関する幅広い活動をしている。
岡本彩
牧原監督の大学時代からの友人。横尾と同級生。幼少期から小学五年の間にバレエを習っていた。
山本のぞみ
日本ろう者劇団員。ろう乳児の非常勤講師でもあり、ろう学校で絵本読み聞かせ活動中。 これまでに杉並区のJ:COMワンポイント手話、手話DVD等に出演している。2015年は聴者のカンパニーで初舞台。
本間智恵美
ろう学校在学中、ろう俳優と出逢い、演劇と手話ダンスの舞台を見たのがきっかけで興味を持ち始める。 2013年劇団はーとふる・はんどに入団。第13公演『赤い糸、みぃつけた。』で役者デビュー。
小泉文子
日本ろう者劇団員。1986年手話狂言秋の会『しびり』のシテで初舞台を踏む。 その後、手話狂言、創作劇の他、自ら手掛けた演出でひとり芝居やコントを上演。2010年天皇両陛下植樹祭出演。
佐野和海・佐野美保
ともに牧原監督の大学時代からの友人であり、聾夫婦。
監督:牧原依里
映画作家。ろう者。既存の映画が聴者による〈聴文化〉における受容を前提としていることから、ろう者当事者としての<ろう文化>の視点から問い返す映画表現と制作を実践。2017年には東京国際ろう映画祭を立ち上げ、ろう・難聴当事者の人材育成と、ろう者と聴者が集う場のコミュニティづくりに努めている。

https://www.deafbirdproduction.com/
監督:雫境
聾(ろう)の舞踏家。1996年~2001年日本ろう者劇団に在籍。1997年舞踏家・鶴山欣也(舞踏工房 若衆・主宰)の誘いを受け、舞踏を始める。国内のみならず欧米、南米を舞台に活動。2000年にユニット・グループ「雫」を旗揚げ、国内、イタリア、スペイン、ペルー、韓国、フランス、アメリカで公演、ワークショップを行う。アニエス・トゥルブレ(アニエス・ベー)監督の映画『わたしの名前は...』(2013年)に出演。2018年、NAPPOS PRODECE「斜面」(作・演出/小野寺修二)、カンパニーデラシネラの「ドン・キホーテ」、「Knife」(演出/小野寺修二)等に出演。2019年、舞踏をベースにした身体表現を模索するためにユニットグループ「濃淡(NOUTAN)」を結成。2000年東京藝術大学大学院博士課程修了。

https://www.noutaninaline.com