監督・脚本:アレハンドロ・ホドロフスキー 撮影:クリストファー・ドイル
(2016年/フランス、チリ、日本/128分/スペイン語 /1:1.85/5.1ch/DCP) 配給・宣伝:アップリンク
STORY
君が、詩が、僕の行く道を照らしてくれる──
燃えさかる蝶のように。
物語は、ホドロフスキー一家が故郷トコピージャから首都サンティアゴへ移住するところから始まる。青年アレハンドロは、自分への自信のなさと抑圧的な両親との葛藤に悩み、この環境から脱し何とか自分の道を表現したいともがいていた。
ある日、アレハンドロは従兄リカルドに連れられて、芸術家姉妹の家を訪れる。そこでは、古い規則や制約に縛られない、ダンサーや彫刻家、画家、詩人など若きアーティストたちが共に暮らしていた。彼らと接していく中でアレハンドロは、それまで自分が囚われていた檻から、ついに解放される。エンリケ・リンやニカノール・パラといった、後に世界的な詩人となる人物たちとの出会いや、初めて恋に落ちたステジャ・ディアスとの邂逅によって、アレハンドロの詩的運命は、新たな世界へと導かれていく。
COMMENTS
敬称略・順不同
谷川俊太郎
詩人
一瞬もじっとしていない人間の内面世界を、ホドロフスキーは時に残酷に時に滑稽に映像化する。無心な幼児と無心を拒む老人が同居する偽善と無縁の多彩な世界、そこにひそむ真実を私たちは発見する。
吉本ばなな
作家
言葉と共に生き抜いてきた私にはこの映画における詩の、人生を変える力がよく理解できる。少年と青年だけが持つ、みずみずしい「心の目」だけで見た「真実の世界」「世界の真実」が完璧に映像化されている。言われなき迫害で得た心の傷を持つ全ての人は、観るだけで涙し癒されるだろう。
岡村靖幸
ミュージシャン
ホドロフスキーに会えた時とても大事な言葉をくれました。
「私は、今、老人だが、6歳の戸惑ってる少年、18歳の怖いもの知らずの青年、30歳の分別がつき世界や映画や恋に生きた中年、50歳くらいの生きることに戸惑いを覚えたり死の不安を認識した初老。それらはすべて過ぎ去ったことではなく僕の身体の中で僕と共に今もいるんだ」って教えてくれました。その時その場の空気の温度が変わるくらい呆然とし、その言葉が血と肉に染みこんだ経験をしました。
この映画はまさにホドロフスキーの少年から青年を過ごした青春時代の故郷での日々をとてもホドロフスキーらしく幻想的で詩的で示唆的で生きる価値観の不思議さ素敵さを描いてるのではないのかなと感じました。
今も僕らは魔法を信じる、今も僕らの奇妙な人生は豊かであることの賛美歌ではないでしょうか。
町田 康
作家
過去が色褪せていく。楽しかったことは泡のように消え、悲しみや憎しみは澱のように堆積する。そのうちに老いて朽ちて消えていく。それが私たちの生。だとしたら私たちはどうやったら前向きに生きられるの? その答えがこの映画のなかにありました。もうひとつのこの世としての、色と音が溢れる過去がありました。それは現在を飛び越えて未来に突き抜けるような過去でした。生きようと思いました。
小島秀夫
ゲームクリエイター
僕とホドロフスキー映画との関係は『2001年宇宙の旅』に登場する猿人とモノリスに近い。だから考察や批評ではなく、真摯に体験するのみ。心の眼を開いて、映画の全てからホドロフスキーと"生きていること"を共有する。自伝的な最新作『エンドレス・ポエトリー』は、青年時代のホドロフスキーと共に、彼の創作の源泉を遡る。
それは僕にとって、詩的でマジカルでリアルな『地獄の黙示録』だ。
いとうせいこう
作家・クリエイター
もうなんていうかますますのマジックリアリズムで、ルーセル的(ということは寺山修司的)、ボラーニョ的世界。豊穣でシュールな映像で人生との和解を描く。90歳を前にしてこのクリエイティブ!
幾原邦彦
アニメーション監督
淋しい、痛い、嬉しい、悲しい、愛しい、命。『エンドレス・ポエトリー』は喪失の物語だが、過去ではなく、現代を生きる僕たちの世界を照らしている。ホドロフスキーも、僕たちも、まだ生きている。この映画体験は、あまたの作り手たちへ贈る極彩色のエールだ。
原 一男
映画監督
アレハンドロ・ホドロフスキーの前では私なんか、まるでヒヨッ子じゃないか、と唖然、呆然、慄然!鳥肌立つほどに凄まじい。彼の繰り出す芳醇なイメージの奔流は、過激に自由で、予測不能なマジカルワールド。そのマジックの手さばきは、すでに神の領域に達しているのだ。
菊地成孔
音楽家/文筆家
全世界驚愕!ホドロフスキー88歳にして第2黄金期へ。ひょっとしたら50本ぐらい楽勝かも知れない自伝シリーズ第2作は「最も元気な前衛映画」!
オダギリジョー
俳優
『エル・トポ』からもうすぐ50年!!いまだ衰えない唯一無二の映像のポエトリー。世界にホドロフスキーがあと10人欲しい!
田名網敬一
現代美術家
見せ物的装飾性に彩られた、祝祭のエネルギーに圧倒される。
私の人生で出会った最も刺激的な映画。
志磨遼平
ミュージシャン/ドレスコーズ
血縁の息子をキャストに配し、自らを詩人へと育んだ思い出の地を舞台に、過去のすべてを “リテイク” してスクリーンに掛ける−−。なんと傲慢でロマンチックな手法か。あの美しい前作『リアリティのダンス』ですら序章にすぎず、御年88歳のホドロフスキーが今迎える最盛期、最新作。呆然としました。
天久聖一
マンガ家
反省してます。このコメントを書くために先にDVDで観てしまったことが本当に悔やまれます。このイメージ!色彩!めくるめくホドロフスキーの世界!ああ、映画館で観たかった……。『エル・トポ』は僕にとって生涯最高の一本、その監督がいまも惜しみなく無限のイメージを描き出す姿勢にはただ感謝と感動しかありません。無論必見!!
ぬQ
アニメーション作家
あまりに衝撃を受けてしまい言葉に表すことが出来ず、イラストを描くことで精一杯でした...
根本敬
特殊漫画家