タイム誌の表紙を飾り、後に世界中のコンクールで賞を総なめにしたこの写真は、イスラエルの新聞にも掲載された。
死んだ自国民の写真を自国の新聞に掲載したのは、イスラエル報道史でも際立った出来事だった。
イスラエル人であるジブ・コーレンがパレスチナの紛争を撮影するのは非常に危険である。
彼を駆り立てるものは一体何なのだろうか。
監督ソロ・アビタルは、家族との会話や友人のインタビューを通して見えるコーレンのプライベートな表情、
そして時には、暴動の最中、危険な西岸地区で戦犯と呼ばれる人物とのミーティングの様子をとらえる。
惨劇を目の前にしてシャッターを切ること、そのトラウマ。
今でも彼は、自爆攻撃のバスを撮影した時の衝撃をこう語る。
「いまだ鮮明に記憶している。どこに立って何を見たか、今でも思い出せる。
現場から立ち去っても、まばたきするたびに死体が見えた」
美しい妻と子、幸せな家族との生活を持ちながら、それでも戦場へと向かうコーレンは、ねじれた現実を鮮明に写し出す。